第33話
サーシャは待ち切れる性格ではなかった。医療室に誰もいなくなる瞬間を狙い、バヒニモに「部隊の撤退を助ける」旨の書置きを残し、ベッドから起き上がると薬品の棚に向かい、青いラヴェルの瓶を2本取り出し一気に飲んだ。高名な薬草、プラニアから生成したものだ。味はネズミの死肉の方がマシといれるほどのひどいものだったが、傷にはこれが一番効く。医療班が気づくも遅く、彼女は颯爽とアルコーンの格納所へと向かった。
格納所には多くの傷ついたアルコーンたちがいた。整備係は彼女の存在に気付き、一礼。戸惑いの表情を浮かべながらも疑問を投げかけた。
「あ、あの……。将軍は負傷したと聞いたのですが……?」
「もう平気。それより、あのテオンサークは動くの?」
「ええ、ですが……」
「私が動かすと言ったら動かす。異論はいらない」
正直言って、テオンサークは彼女好みではなかった。ランスの扱いが何とも違和感を拭えないからだ。それは物理的バランスの問題なのか、感覚的問題なのか、それすら彼女自身が判断できないほど、得体の知れない違和感だった。
だが戦場で、生死を賭けた戦いである以上、それは不要なものでしかなかった。
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