第64話 ゴブリンゾンビの利用法
「…ふう」
ログアウトを完了して、頭部に装着したアラインを外す。
「んー、やり過ぎたかな…」
ランキング上位に食い込む為に効率の良いポイント稼ぎを実践していたのだが、如何せん効率が良すぎた様だ。
途中から無心になって単純作業を繰り返していたから、余分にポイントを稼いたと思う。
「こんなに簡単にポイントが入るなら、初日からやっておけば良かった」
実際この方法は、イベント始めに行うことが出来るものだった。
思い返して見れば、やっていたと言えなくも無い。
狙ってやっていた訳では無いのだが、後から思い返して見れば今回も同じ事をしていた。
勿体ぶっても仕方がないので、簡単に振り返ろう。
まずこの方法の前提条件は魔法系スキル【下僕魔法】を所有している事、そして自力でのMP回復が可能である事の二つが必要となる。
ここで思い出して欲しいのが、ゴブリン軍を対象に出されたイベントクエスト『倒せるだけ倒せ』の貢献ポイントの配分だ。
『倒せるだけ倒せ』の貢献ポイントは、ゴブリン(1ポイント)ゴブリンアーチャー(2ポイント)ゴブリンソーサラー(2ポイント)ゴブリンナイト(5ポイント)ジェネラルゴブリン(20ポイント)ゴブリンキング(100ポイント)その他のゴブリン(3ポイント)となっていた。
ここで有用な情報は、その他のゴブリンである。
『グリモワール・オンライン』は、ゴブリンの種類がとても豊富だ。何せゴブリンゾンビが存在する程だ。
俺がやったのは、【下僕召喚】でゴブリンゾンビを召喚可能最大数分を召喚。その後、召喚したゴブリンゾンビ共に魔法攻撃を撃ち込む。すべてのゴブリンゾンビを倒したら再召喚。それをひたすら繰り返すだけだ。
この方法の利点は奇襲以外で攻撃を受ける心配がない事、他のプレイヤーとゴブリン軍所属のゴブリンを取り合う様な揉め事を事前に回避手出来る事だろう。
当然デメリットも存在する。
自分で召喚したゴブリンを攻撃するため、種族、職業経験値が一切入らない。そして、ゴブリンゾンビを召喚するには街の外でなければならない為、他の敵性モンスターとの戦闘を覚悟する必要がある。
「…スキルレベルが上がったのはラッキーだったな。やっぱりスキルは戦闘で経験値を稼ぐものじゃなくて、行動経験値…つまり熟練度って事だな」
ゴブリンゾンビは、最弱モンスターゴブリンの成れの果てだ。アンデットモンスターとなっている為に物理攻撃は効き難いが、魔法を当てればすぐに倒せる。
弱いゴブリンの貢献ポイントは1だが、ゴブリンゾンビは、その他のゴブリンに分類される。つまり、3ポイントのモンスターだ。
通常個体のゴブリンを一体討伐するよりもゴブリンゾンビ五体討伐する方が、簡単で安全で確実でより多くの貢献ポイントを得ることが出来るのだ。
難点はMPの消費量が多いために回復手段を用意していなければ、直ぐにMPが枯渇してしまうことだ。俺の場合はダークピットを多用してMPを回復する事が出来たので、MP問題をクリアする事ができた。他のプレイヤーが同じ事をするには【下僕召喚】を取得し、MPを何かしらの手段を用いてリスク無しで回復する何かを入手しなければならない。
物理攻撃で倒せない訳でもないが【下僕召喚】の発動自体にMPを消費するので、回復手段の確保は必須となるだろう。
「…寝よ」
手に持ったままの『アライン』を机の上に置くとベットに飛び込む。
「…ご飯はいいや」
空腹である事は確かなのだが、一階に下りるのが面倒なのだ。
ベットの上でゴロゴロしていると、廊下からドタドタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
「はぁ…起きるか」
あの雑な足音は姉さんの足音に違いない、怒られる前にさっさとリビングに行こう。
リビングに行くまでの廊下で、姉さんとすれ違ったけど無言で通り過ぎた。
その日の晩御飯は、もつ鍋でした。
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