第30話 生産チュートリアル
「続いて生産のチュートリアルを行います」
テスターの時は分からないことが多かったからな、是非聞きたい。
「チュートリアルでは、所有しているスキルのみ説明を行います。よろしいですか?」
「ああ」
深めに頷く。
「では先ずは【鍛冶】からです」
妖精の説明が始まると同時に鍛冶場が視界に現れた。
「【鍛冶】を行うには、鉱石をインゴットにしなくてはいけません。この鉱石を加工してみましょう」
そういうとトレード画面が表示される。
白鉱石 素材 ランク1 品質C
白色の鉱石、インゴットなどに加工されるベーシックな鉱石。
「白鉱石?」
「はい、この世界の鉱石は色で判別されます。白の他に赤や緑といった鉱石がありますが、ランクが高くなると白眼鉱石など名前が仰々しくなっていきます」
色の判別は分かりやすくていいな。鑑定系が無くても種類判別が楽になる。
「どうすればいい?」
「白鉱石を鍛冶場で熱してください。そうすると加工ゲージが表示されるので、ゲージが一杯になったらハンマーで叩いてください。ハンマーは本来加工には使用されませんが、スキルの効果で不純物を消滅させることができます」
「結構重いな」
ハンマーの大きさは妖精より少し大きい程度だが、それでもずっしりとした重さを感じる。
白鉱石を熱しながら、ハンマーで叩く。
「どれ位叩けば良いんだ?」
「そうですね、インゴットは不純物が少ないほど品質が向上します。普通のインゴットですと品質Cなりますので、その辺りまでですね」
「って、つまり感覚で覚えるしかない訳ね…これ位かな」
元鉱石を火元から離しハンマーを置く。
「この後は?」
「加工の完了を宣言するとインゴットになります」
「加工完了」
まだ赤熱を発していた元鉱石は、一瞬光って見えなくなったかと思うと綺麗に成形されたインゴットになっていた。
咄嗟に【鑑定】を行う。
白鉱のインゴット 素材 ランク1 品質B-
白鉱石を加工した物。
「B-か」
「普通はFからスタートするものなんですが…こほん。それではインゴットを更に加工してみましょう」
「また叩けば良いのか?」
「そうですが、ここはご自身の武器を作られてはどうでしょう?」
初期装備は貰っているが、生産プレイヤーの用のアシストだろうか。
「素材は足りるのか?」
「白鉱石の追加と木材になります」
トレードの画面が表示される。
「トレードって強制なのか?」
「チュートリアル中は強制ですよ」
「はぁ…」
大人しく素材を受け取ると鑑定を使う。
ピーターの木材 素材 ランク1 品質C
どこにでも生息するピーターの木材。様々な用途に使われる。
「木材はいいや、全部鉱石で作る」
「そうですか?」
「ああ、他の種類の鉱石も有れば良いんだけど…」
妖精はイタズラを思いついたようにニヤニヤしながら、興の赴くままに提案を始める。
「チュートリアルでは、ランク1の素材しか使用できませんが種類はあります。こうなったら、スキルのレベルが上がる勢いで作ってしまいましょう」
そう言ってトレードで素材が送られてくる。
赤鉱石 素材 ランク1 品質C
赤色の鉱石、インゴットなどに加工されるベーシックな鉱石。
青鉱石 素材 ランク1 品質C
青色の鉱石、インゴットなどに加工されるベーシックな鉱石。
黄鉱石 素材 ランク1 品質C
黄色の鉱石、インゴットなどに加工されるベーシックな鉱石。
緑鉱石 素材 ランク1 品質C
緑色の鉱石、インゴットなどに加工されるベーシックな鉱石。
「鉱石の違いは?」
「まぁ、色々ですね。基本は属性色になっているので想像できるかと」
この妖精が曖昧に対応するときは、言えないようになっている時だ。システム側で管理されているのだろう。
「ふむ、やってみるか…」
長い時間かそれとも短い時間か、どれほどの時間が制作に当てられたのか。持ち合わせた集中力を全て注ぎ込んでハンマーを振るった。
「…出来たな」
「出来ましたね~。もうクタクタですよ~」
俺たちは出来上がった大鎌を前に精魂尽き果てていた。
フィルカーズ・サイス 大鎌 ランク2 耐久値800 品質A
筋力+10 精神+4 知力+4
ランク1の限界を突破した大鎌。
「一発勝負なんて言うから、全力でやったぞ…」
「もう【鍛冶】は完璧ですね~。そして、お説教は確定ですね~」
妖精の世界にもお叱りはあるらしい。
せっかく作ったのだから、装備の変更はしておこう。
「次は…【木工】【調薬】【調理】は何となくで大丈夫として…【皮革】と【道具】ね」
「何となくって…」
「…【調薬】は配合とか色々頑張ってレシピ毎に案内が出るから、【調理】は
「ザックリまとめたな」
要点をまとめただけみたいな説明だが、分かりやすかったな。
「【皮革】は素材がモンスターの皮になるので注意が必要です。ああ、加工できる状態でドロップするので安心してください。品質の上げ方の目安は、丁寧に作る事でしょうか」
「ドロップ後は、直ぐに縫ったりできるわけだな」
「そうです。【道具】は様々な道具を作成するスキルです。例えばガラス瓶やペンなどですね。他にも【鍛冶】と【木工】を取得していれば、鍛冶場で使うハンマーなどが作成できます」
速足ではあるが為になる情報が転がっている気がする。
道具は他にも色々と使い道がありそうだ。
「これで生産のチュートリアルを終わります。最後にグリモワールのチュートリアルです!」
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