第14話 続 運営

 某日某所。


「レベルロック、作業完了しました!!」


「フリーボス、データリンク完了です!」


「フィールドの更新残り30%!」


 予想外の事態に『グリモワール・オンライン』のスタッフは、一様の忙しさに徹夜の作業を強いられていた。


「だぁー、今日休暇だったのにー!」


「はいはい、ユニークボスはどうします!?」


「クローズにはいらんだろ?」


「正式までは無理そうだな…実装しなくてもバレ無さそうだが…」


「時間いっぱいまで、追加の方向で」


 ゲームの裏側ではスタッフの悲鳴が響いていた。


 本社会議室。


「それで…どうするんだ?」


「運営はプレイヤーには公平が鉄則でしょ」


「そうなんだがよ…二日でクリアは、あんまりだぜ?」


「丹精込めて作ったから気持ちは分かる」


「例の収集の子だろ?」


「やっぱ、魔王ルートじゃねぇか!?」


「正式サービスと同時発売のアレは?」


「えっと『リンクス』だっけか…東堂博士の許可はあるみたいだな」


「え…ウソ!?」


「なんでもゲーム好きな方らしくてな。ゲーミング仕様の『アライン』はむしろ推奨してるらしい」


「ほへー」


「本人VRゲームしたいから『アライン』作ったらしいしな」


「そこまで!?」


「でも、ゲーム制作は関わってないんですね」


「プログラム関連は手伝ってくれてるけどな…ストーリーやら、モンスターのアルゴリズムなんかはやりたくないってさ」


「なんでまた」


「ゲームする時にネタバレが嫌なんだそうだ」


「はは、気持ちは分かる」


「でも、作るのが一番楽しいのに!」


「まぁな、でもよ。あの博士の事だから、また何か作ってんじゃねえか?」


「んー、何考えてるのか分からない人ですからねぇ」


「博士が見てることだし、違反プレイヤー以外が不利になるのはマズイって」


「だな」


「正式版のことも考えて、調節してみるか」


 徹夜の会議室でスタッフの団結は固くなったという。

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