4.

「ねぇ?わたし、あなたともっとお話ししたい。」

「話したい?私と?」

「うん!」

華弥子はそれから堰を切ったように季依を質問攻めにした。

季依はそれらしく答えつつも、必要事項だけは聞き返し帰ってきた返答を頭に叩き込んだ。

返答の中には「答えたくない」ものもあって、それ以上触れないように意識の向こうに押しやった。

華弥子もまた、季依の言葉を濁した内容を深く掘ることもなく、それは季依にとって心地の良いものだった。


お互いの呼び名は、「きー」と「かや」になった。


「ねぇ、かや。」

「なぁに?」

「友達ついでにいくつか片付けたいことがあるんだけど。」

「片付け?」

「まずはあなたが手を下した遺体の処理。あのままではすぐに見つかるでしょ?」

「見つかるところにしたからいいの。」

季依は軽く首を傾げた。

「だって、器は邪魔だから。すぐに見つかったほうが片付ける人も楽でしょ?」

「片づける人って……警察は清掃業者じゃないんだから。」

「え?」

「え……何?まさか片付ける人たちっていう解釈だったの?」

「ほかに何かお仕事してるの?」

「バリバリしてるでしょ。あーいうところにいる警察は、遺体が自殺なのか他殺なのかとか、いろいろ調べるのが主な仕事よ。」

季依が必死に訂正すると、華弥子は初めて知ったかのように唇を尖らせていた。

先が思いやられる華弥子の考え方に、季依が頭を抱えた一方で華弥子は目を輝かせた。


「ほかに片づけることってなぁに?」

「あぁ……、あとはあなたのことを撮って笑っていた女子グループの断罪よ。」

「どうして?きれいに撮ってくれていたかもしれないのに……。」

「あんたね……。裸撮られたら普通『屈辱感』ってものが発動するのよ。そもそも無断で人のこと撮るのも犯罪だし。」

「そうなの……。」

「あと、あんたが転入してくる前は私があんたの立場だったのが一番の”お片付けポイント”だから。」

季依がそう言って眉間に縦にしわが入ると、華弥子はまたぱぁっと表情を明るくさせた。


「それは大変だわ!!」

「分かってくれた?相手は多勢だし断罪にはあんたの力が必要なの。」

「もちろん!でも全員を解放するのは無理よ?そんなにたくさんの力を使ったら私だって傷だらけよ、痛いわ。」

「一人で十分よ。女子のリーダー格の女がほかの面々の動画全部集めて保存してるのは調査済み。」

「きー、素敵だわ!」

「どーもありがとー。」

華弥子が目を輝かせて季依を褒め称える一方で、季依は棒読みで手元のパソコンを開いた。

華弥子が覗き込むと、パソコンにはものすごい量のアルファベットと数字が羅列されて流れていた。

「なぁにこれ!!怖いわ!」

「あんたの口から出た言葉とは思えないわね。これはハッキング用のソフト。最後の仕上げの飾りつけを作ってると思って。」

「まぁ!!画面に虫が這ってるみたい。」

「思っても言わないで。」

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