”あいつ”に出会った夏の話をしよう。〜ヒノカミ探偵ミツキ・秋葉山妖怪奇譚〜

AWC (あわしー)

Prologue「ヒノカミ探偵ミツキ」、作者まえがき。

 やぁ。

 これを読んでるってことはアンタはもしかして霊感がある?

 それか、霊感なんか無いけど怖い話とか都市伝説とか、そういうのが好きなクチじゃないか?


 俺がこれからしようとする話にはそんな超常のあり得ないもんがわんこそばみたいに次々出てくるし、アンタが(たぶん)聞いたこともないようなオカルティックでディープな、目に見えない世界の仕組みの話も出てくるよ。

 俺は霊感なんてなかった(と思ってた)し、正直あんまりそういうのは興味なかった、というか苦手だったんだけどさ。今ではすっかり慣れっこになってしまった。誰だってあんなものを見せられたり、毎日のように講釈を垂れられたら”頭お花畑”になっても仕方ない。


 え?そうじゃないって?おいおい、待って、待ってくれ。ブラウザバックしようとしないでくれよ。(あるいは、本を閉じようと)

 俺だってこれで飯を食ってるんだから、少しぐらい読んでいってくれ。お茶だけでも、どう?5分だけでいいんだ。何ならそこで立ち話でも…って俺はナンパ師かなんかか。

 −−えーっと、こういう軽いノリもあるよ?ってことで。うん。まぁいいや。話を続けよう。


 俺がまだ高校生だった夏、"あいつ"に出会ったおかげで、アンタの好き(じゃなくてもいいけど)な"お化け"だか"あやかし"だか"もののけ"なんかに関わることになっちまった。

 鍵かっこつきで強調なんかしちゃってなんか白々しいけど、あいつはそういう分類に結構うるさいからさ。その話もここでするより、物語の中で教えるよ。あいつの”言葉”で語りたい。


 そう、これはあいつの残した”言葉”を、俺が忘れないように記録するためのものでもあるんだ。


 あ、”あいつ”が誰のことか、もしもアンタが俺の話をすでに最後まで聞いてくれてこれが二周目ですって言うんなら、わかるよな? いやあ良いお客さんだ。ありがとう。(それかもしかして俺の知り合い?可能性なくはないけど)

 そして…これを書いてる今でも、あいつはどこかで俺たちがあくせく働いてるのを欠伸でもしながら見てるんだろう…な。そう信じたい。

 −−アンタなら、どう思う?


 おっとまた話が逸れたな。俺の悪い癖なんだが、慣れてくれ。

 もちろん、初めましてのアンタを想定して書いていくよ。

 置いてけぼりにはしないように頑張るけど、もしわからないことがあったらコメントでもしてくれ。ネタバレ以外なら答えるようにするよ。もちろん、アンタがもし未来人でもネタバレはしないでくれよ。でも、こんな風に読者と生きた交流ができるってのもインターネットの良いところだよな。


 さてと、どこから話そうか。

 やっぱり話して聞かせるなら物語仕立てで行くべきだと思うんだ。俺だって面白いと思って話すんだから、アンタだって楽しみたいだろ?

 だから、ちょっと大げさに言ったり脚色もあるだろうけど、これは本当に俺が体験した不思議な話。そして数々の事件の中でも、エピソード・ワンだ。アナキン・スカイウォーカーは出てこないけど、不思議なフォースは出てくるかもよ?

 あと、小説のように書きたいとは思うけど、こんな風に語りかけるみたいになっちゃうとも思うんで許してくれ。

 

 自分の秘密の日記を晒すみたいに恥ずかしい部分もあるけど、自分の中でしまっておくこともできない。わかるかい、物書きってそういうもんだろ?


 では、物語の幕開けといこうじゃないか。






 *この物語はフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係がありませんので、本文中の表現をそのまま受け取ってしまう純粋ピュアな読者の方は、ご注意下さいませ。

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