転生!してモブになったのはイイけど〜モブの方が狙われやすいだなんて聴いてない⁉〜
美叶斗
プロローグ
私、天野愛。今日は街に待った新作乙女ゲーム「love・forever」の発売日!今日という日の為に仕事で上司にぶつぶつ言われながらも頑張ってきた甲斐があるってものよ‼
ドキドキワクワク心を踊らせながら買いに急ぐ。
「いらっしゃいませ〜」
うん!いらっしゃいましたよ!今日は一段と店員さんの声が弾むように聴こえる!
「すみませんこのゲームを予約した者なんですけど」
そう言うと店員さんが私から予約控えを受け取り「少々お待ちください」と棚から物を探す「お待たせ致しましたこちらでお間違い無いですか?」と商品を確認して大丈夫ですと伝える。
お会計を済ませて念願の「love・forever」を手に入れた
「はぁ〜やっとプレイできる!」もうっ店の中だから出来ないけど気持ちは小躍りしてるよ!浮かれながら家に帰ろうと出口に足を進めようとした…その時バンッっと多きな音が店内に響き渡る。へっ?と音がした方に振り向くと拳銃を持った男がすぐそこで暴れていた。
キャーキャーと騒ぎが大きくなる。
私の頭の中はもうパニック通り越して真っ白になっていた
「はっ…強盗?」目の前で起きている事が考えられずただその場に立ち尽くしていた。
「金を出せ‼さもなくば撃つぞ!」
男が拳銃を魚雨殺法に撃ち始めた。いわゆる威嚇射撃だ。
先程まで話していた店員さんに金を引き出させていた。
あぁ…ついてない。せっかく楽しみにしていた「love・forever」を気持ちよく出来ると思ったのに…これじゃあ台無しだ。
強盗と店員さんのやり取りを見て思った。
しかしふっと思う。可笑しいでしょう?他の人は姿勢を低くして隠れるようにしているのに…
私は…そのやり取りを立って間近で見ているなんて…イヤ…身体が思う様に動かせない…
この無意識にとっていた行動に強盗の男が拳銃を向けてきた。
「オイッお前底を退け!」そうね出来れば退きたいけど身体が動かないのよ⁉声も出ないし⁉
「お前っ.退けって言っただろっ‼」その瞬間バンっと音がした。拳銃の引き金を引いたのだ…アツい…イタイ…目が霞む…そして私の視界が真っ暗になった。
ーーーーーーーーー☆ーーーーーーーーーー
身体がふわふわする…私どうしたんだっけ?
『…!〜…⁉』
誰かの声がする聴いたこと無い声だ…私は自分に言い聞かせる様に重い瞼を開けると…
「…っ‼眩しい…」辺り一面が真っ白、驚いた私は「えっここどこ?」試しに手を伸ばして辺りを確認しようとするも触れている感触が無い。
足も動かしてみるが地面が無い所に立っている?いや浮いていると言ったほうがあっている…まるで真っ白な空間に閉じ込められているかの様。
『やぁ。起きたかい?』後ろから声がする。
振り向くとそこには1人の美青年がいた。
「貴方は誰…ですか」私は…後ろにいた羽を生やした銀髪長髪に瞳は紅おっとり顔をした美青年に問い掛ける?何で羽?…錯覚かな…?
『アレ?…驚かない僕を観てもっと驚くと思ったのだけど?』ふふっと微笑みながら話す羽の生えた美青年の姿は恋愛経験無い私でも、もうドキドキ物よ。
私は一呼吸置いて美青年に話しかける。
「驚いてはいるけど…そんな事よりここは何処?私は確か仕事帰りに発売を楽しみにしていたゲーム買ってルンルンで帰ろうと思ったら急に強盗が来るわっ……その後は……その後は…?」
アレ?思い出せない?その後どうなったんだっけ?
無事に家に帰れた?……イヤ、思い出せない。
『…その後は君は死んだんだよ。……僕の手違いで……』
あぁ…そうか私、強盗に拳銃を向けられてそのまま撃たれて死んだのか‼
「なるほどね〜思い出せてスッキリした〜…ってなるかーー⁉」
私は架空のちゃぶ台をひっくり返すような勢いでツッコむ。
「死んだ…死んだって私が死んだの⁉」
美青年の肩を掴み揺さぶる。
『そうだよ。君は強盗に撃たれて死んだんだ。』
「そ…っそんな…楽しみにしてたのに…」
『?』
「love・forever」楽しみにしてたのに買った瞬間強盗に殺されたなんて笑えない!全然笑えない!
今の今までどんだけ頑張ってきたと思っているんだ⁉毎朝早起きして満員電車に乗り、行きたくもない仕事に行き。行ったら行ったでクソ上司の上から目線のセクハラにも耐えて、お金も出ないのに残業して、帰りも満員電車に乗り帰る。
それを耐えてやっとの思いで「love・forever」をプレイする(私の楽しみ=癒やし)日が来るのをどんだけ楽しみにしていた事か…
「それなのに…一人も攻略出来ないまま死ぬなんて…そんな事ある…」
『……う…ん…えーっと』
泣き叫ぶ私に美青年は声を掛けようにも掛けられないが取り敢えず背中を擦ってくれた。
優しい。
十分に泣いてから本題に戻る。
「私…強盗に撃たれて死んだんだよね…?」半泣きになりながら美青年に尋ねる。
『そうだよ…君は死んだ…』キッパリと美青年に言われ肩を落とす。
もう日本に戻る事は出来ないの?…なんてついていないんだろう。
「あれ?そう言えば私死んだのよね?」
『あぁ。』
「じゃあ貴方も死んでるの?(羽生えてるし…)」
私は先程から話している美青年に疑問を投げかける。
『そう言えば、自己紹介がまだだったね。僕はこの世界の神だよ』
…髪?…紙?…
「かみ?」
『神様の神だよこの世界のね』
神⁉この人…あっ違う神様。
「うぇっ⁉神様!…えっえっ神様だったら私を生き返らせる事できるんじゃなんいれすか?」
ヤバイ焦りすぎて噛んだ。だって今私の目の前にいる美青年が神様なんだよ!
GODなんだよ!この世界に神様なんて居ないかと思っていたけど。信じて無かったけど!
『それは…無理かな…一度死んだ人間を元の日本という世界に戻すのは…』
「なんでですか⁉」
神様から出た言葉は私が望んでいた言葉では無いことにショックを受けた。
『………めん……』
「ん?今なんて言いました?」
小さくて聴こえづらかったけど神様なんか言いましたよね!
『ごめん………実は…物凄く言い辛い事なんだけど』声を渋々と押し出す様に話し出す。
『……実は…僕の手違いで君を殺してしまったんだ…』
「……はっ??」聞き間違いかな?今…神様の口からとんでもない言葉が聴こえたよ。
気のせいか?気のせいだよね?
私はまじまじと神様の美しい顔を伺う。
『……申し訳ありませんでした…』
この顔は日本でよく見た大失敗した人が目上の人に対して謝罪をする時の顔だ……。まさか…
「神様?…私が死んだのは神様の手違いって本当なの?」
信じる事の出来ない私は恐る恐る聴き返す。すると重々しく頷く。
『…申し訳ない…』
本当にそうなのか神様…しかし不思議と怒りや哀しみが無く必死に頭を下げる神様をみると、何も言う気が起きなくなる。だって神様に頭下げられては何も言えない…
「はぁー…もう良いですよ死んでしまったしどうやっても元の世界には戻れないんですよね?…」しかし普通に考えて間違えるものなのか?
「ねぇ…神様ホントは誰が死ぬ運命だったのですか?」
『……あー…ホントは君を襲ったあの強盗だったんだよね。』
おい!ちょっと待て!なんて言った?強盗?
「何で強盗と私を間違えるのよ⁉貴方、神様でしょう?!」
悪人と善人間違えるかっ⁉
このポンコツ神様それで私のかけがえのない楽しみを奪ったのか‼返せ私の楽しみ!怒りが爆発する。それを見た神様は
『あー…えっと申し訳ないと思ってるよ…その代わり君の好きな「love・forever」の世界に転生させて上げよう!』
私は耳を疑った。だって神様の口から出たのが「love・forever」の世界に転生だよ?
「えっ?それは…本当にできるの?」
神様は胸を張って勿論と大きく頷いた。
それを聴いて先程のポンコツ神様は前言撤回。怒りも何処か明後日の方へ飛んでいった。ナイスよ!流石は神様。
『いやー…それ程でも』
煽てると素直に喜ぶ神様。可愛いな。
『それでキミは「love・forever」の誰になりたいんだい?…やっぱりヒロインとかかな?それともまた別で悪役令嬢とか?』
うんうんまぁ…大抵はそう答えるよね。でも私はどんなに好きなゲームに転生出来ると言えど唯一私が望むのは‼
「神様…私がなりたいのは麗しきヒロインでも子憎ったらしい悪役令嬢でも無い…私はその世界のモブとして生きて行きたいです!」
…あら?神様からの返しが来ない。変だなと思い顔を観ると何とも微妙な顔をしていた。何で?美しい顔が勿体無い…
『本当に君はそれで良いのかい?せっかく好きな世界に行けるのに?』
そう。そこなのよ神様!せっかく好きな「love・forever」に転生できるのなら逆に麗しきヒロインみたいに特別な力があって狙われる事も気にせず、子憎ったらしい悪役令嬢みたいに嫉妬心に包まれ破滅する事なくどれだけ無事に安定したニートライフが遅れるか。
そこが一番重要よ!
モブならヒロインみたいに周りから目をつけられなくなる上に悪役令嬢みたい破滅しなくても済むのなら私はモブになる‼
そして幸せに暮らしたい。神様に奪われた人生を今度こそ全うしてやるわ!
『分かった…君が望むのならそうしよう。ただしそれだけじゃつまらないからメリット・デメリット1つずつけても良いかい?』
メリット・デメリット1ずつかそれなら
「構わないわ!モブとして安定した生活がおくれるのなら!」
私はこの時の言葉を後に後悔する事も知らず
意気揚々と了解をしてしまった。
『あっそれとメリット・デメリットはその世界に転生してからのお楽しみだから今は教えられないよ…では。行くよ今から君が転生する世界へ‼ちなみに君の今までの記憶は残る。勿論僕の事も…その方が後々面白くなりそうだからね…君は一体どのような物語にしてくれるか今から楽しみだ…決めるのは君自身だからね…さぁ目を閉じて…』
神様に言われた様に目を閉じた。その瞬間白い大きな光に包み込まれる。
いざ「love・forever」の世界へーーー。
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