第9話 アルは異世界を知る
ペトラの店の倉庫に戻り、俺はブルーティアの操作をする。
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神剣ブルーティア・ソードモード
FP:205
攻撃力:103
防御力:102
スキル 剣2 弓1
サポート 収納 自動回収 成長加速10
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「…………」
また成長が加速している。
俺は胸の奥から湧き上がる歓喜に身を包み込み、スキルを確認していく。
戦闘面での強化も必要だけど、日常なんかで使えそうなものはあるだろうか……
そう考えながら調べていると、【知識】という物と【錬金術】というスキルが目に入る。
知識:選択した知識を得ることができる
錬金術:物を別の物質に変換することができる『錬成』
物と物をかけあわてて新たなる物質を創り出す『調合錬成』
この二つを使用することができる技術
これはあったら便利そうかな。
俺は【知識】の中から『モンスター』と『錬金術』と『地理』を選択した。
すると、モンスターに対する知識と錬金術と地理に対する知識が、思い出したかのように頭の中に浮かび上がってくる。
これは……凄い。
勉強なんかしなくてもいいなんて……夢のような話っ。
次に【錬金術】を選択。
スキルレベルは――限界まで上げておく。
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神剣ブルーティア・ソードモード
FP:205
攻撃力:103
防御力:102
スキル 剣2 弓1 錬金術10
サポート 収納 自動回収 成長加速10
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これで錬金術に関しては、俺にできないことは無くなった。
まだスキルポイントが余っていたので、他に役立つものはないかと鼻歌交じりで見ていく。
「ん? なんだこれは?」
すると【知識】の中に、『異世界』というものが表示されてることに気づいた。
知識・異世界:こことは別の世界の知識を得ることができる
というものであった。
知的好奇心というやつだろうか、この世界以外の知識にただならぬ興味が沸き出す。
俺は迷うことなく、『異世界』を選択した。
途端に、俺の中に異世界の情報が流れ込んで来る。
――車
――スマートフォン
――インターネット
ありとあらゆる情報が手に取るように理解できている。
「しかし、異世界というところには、色んなものがあるんだなぁ」
俺は感嘆とした声を出し、その利便性や恐ろしさなどを頭の中から引き出し楽しんでいた。
すると、ブルーティアのステータスに新たなる情報が表示される。
『知識・異世界を取得したことにより、いくつかのスキルを解放しました』
「?」
俺はスキルを確認する。
すると、ジョブの欄に【ガンナー】が追加されていた。
これは異世界の武器、【銃】を使って戦うスキル。
他にもいくつかの機能が追加されていたが、とりあえず俺は【ガンナー】のスキル、【銃】を習得した。
これまた性能が拡張されたブルーティアに、俺は喜びのため息をつく。
ブルーティアはいったいどこまで強くなれば気が済むんだ?
いや、際限ないほうが嬉しいんだけどさ。
◇◇◇◇◇◇◇
翌日、ペトラの店で朝食を取る俺。
ペトラはお金のことに負い目を感じているのか、まだ申し訳ないように俯いている。
「あのねぇ、そんなに気にしなくていいからさ」
「で、でも……」
「とりあえず、飯を食えれば死にはしないんだから。寝床も貸してもらってるし、それに初日に助けてもらったしさ」
「……あの時、自分だけの力でも乗り越えられたんじゃないですか?」
ええ。皆殺しでよければですが。
「あれだけグリーンリーフを手に入れてきて……そりゃあ難しい仕事ではないですけど、あんな人たちよりかはよっぽど強いでしょ?」
「いやーどうかな……」
目玉焼きをフォークでつつき、黄身を割りながら、ふと気になったことをペトラに訊いた。
「あのさ、このギルドで仕事してるのって、俺以外にどれぐらいいるんだい?」
「……アルさんだけですよ」
「え?」
「……みんなまともに仕事をしようとしないんです。飲んだくれて喧嘩して。もう堕落してばかりですよ」
ペトラは目を細めてお怒りの様子だ。
「ふーん……」
俺は目玉焼きを口に放り込みさっさと飲み込む。
「ご馳走様でした」
掲示板で今日こなす仕事を探す。
と言っても、張り出されているのは2枚だけだけど……
グリーンリーフの仕事ともう一つ――
『鉄鉱石の納品・2000ゼル』
「鉄鉱石か……」
昨日、入手した【地理の知識】のおかげで、どこで鉄鉱石が入手できるのが分かっていた。
ここから北西になる洞窟……『スビレイ洞窟』で入手可能だ。
そんなに遠くも無いし、今日中に帰って来れるだろう。
「ペトラ。これ、やるよ」
「え……まだ仕事やるんですか?」
ペトラは真っ青な顔をしてガタガタ震えていた。
いや、そんな怖がらなくてもいいでしょ。
「……あのさ、ちょっと提案があるんだけどさ」
「て、提案ですか……?」
「あー……ま、明日にでも話すよ」
「?」
俺は震えるペトラに手を振って、笑顔で店を出る。
外は天気もいいし、またブルーティアの性能が上がることを想像するとどうしても足取りが軽くなるというものだ。
俺は踊るような気持ちで、スピレイ洞窟を目指して歩み始めていた。
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