第12話 そういう奴らこそが、はびこる世界、なんですよ


ギルド

数日後、討伐隊が帰ってきた。いつの間に行っていたのだろう?

ギルマスまで同行していたようだった。

「おう、神山、ちょっといいか?」ギルマス



ギルマスルーム。

「お前のいた世界って、皆あんな汚ねぇのか?臭いのなんのって、、ありゃ匂い攻撃だな、なににまいったって言うっても、あの臭さほどの攻撃はなかったわ、、何しろ騎馬兵、1キロ圏内に入れないんだから、」

なにそれ?あいつらより汚かったのっ!!制服どうなったんだろう?


「お疲れ様でした、、、いや、オレらだってちゃんと風呂入ってましたよ?大体毎日。こっちでだって今なんかダニダニうるさいんで日に二度三度、、服は毎日取り替えるし、、」

「んじゃ、なんであんなきたねーんだ?」

「んー、水がなかったんじゃないすか?」

「水がある場所に拠点移せばいいだろう?」


「トップがバカなんですよ、汚いってのも頓着しないバカだし。そのコバンザメ共も輪をかけたバカだし。不潔が危険だと考えることもできないほどバカなんですよ」

「ふん、そんなのいるわけねーだろ?」

「見たんでしょ?現物を」

「まぁ、、、」


「で、結局どうなったんすか?」

「首領とその側近共は手に負えねぇほどだったんでたたっ切った。最初奴らが魔法攻撃してきたが、なんだありゃ?ちんけな攻撃しか無かった。ゴミ程度だ。誰が教えたんだ?」

「誰も教える者がいなかったんですよ、いたら少しはマシな奴らはあそこから逃げていたでしょうよ」

「ふむ、、自分らで魔法を使えるように?」

「ええ、知識だけはある、って奴らが少しはいたはずだから。」 らーのぉーべぇええええ!!!!

「そんなのなけりゃ、素直に頼れる誰かを探しに表に出たろうになぁ、、」

「・・・どうだか、、、」

「そんななんか、、」

「そんななんです」


「ま、そんでそんなチンケな魔法が効かないから、下っ端共はパニックだな、俺らはそんなの相手にせず首領っぽい奴らだけ先につぶしたんで、他の奴らはすぐ降伏した。一応奴隷商を引き連れていったので、引き取ってもらった。泣いてたがな、臭くて」

「生きていられるだけ、マシでしょう奴らも。何も考えないで自分のために何も行動しなかった報いですから」


「そういう奴らもいる世界ってのがあるんだなぁ、、、」

「そういう奴らこそが、はびこる世界、なんですよ、あっちは」

「俺にゃ、絶対理解できんな」

・・・・



「久慈山という名前の男がいます。そいつが首領をしていたはずだが、狡猾なやつです。多分、他者と入れ替わって奴隷になった者たちに紛れ込んでいるでしょう。

奴らの仲間は久慈山を心底怖がっています。だから、久慈山にバレる可能性が少しでもあれば、絶対誰も口を割らないでしょう。

やつを生かしておくと、この国の災いになるかもしれません」


「お前がそこまで言うのなら、ほぼ確実に災いになる、ということだなぁ、、ありがとう、恩に着る」

久慈山だけはだめだ。

「そうそう、クズ山と呼ぶとすぐキレます、参考までに」




後日

「お前の言うとおりだった。奴隷に紛れ込んでいた。色々話したが、狡猾だなぁ、、頭は良い。変な知識も多い。でも人間としてのものがほぼ全く無かったな。


片目分だけの小さな穴から部屋の中を覗いて、その中に並ばせた番号を付けた5人の男から久慈山がいたら選べ、って、5枚の数字を書いた札を渡したんだが、全くバレないようにしたんだが、それでもあいつら怖がってるんだなぁ、、、同じ男を選んだのは全体の3割。


決め手に不安だったんで、連行中に後ろからそっと声を掛けたんだ、くずやま、ってな。

一瞬で振り返って殴り掛かってきやがった。簡単にカウンターパンチでふっ飛ばしてやったがな。


ありゃ、王にでもなったらそれは恐ろしい恐怖の国を作り上げるだろうなぁ、、お前の言い分が少しわかったような気がしたよ。」



「・・で」

「話が終わったら、その場でオレが久慈山の首を刎ねた。他の側近連中と一緒に、罪人墓地の前に晒されているはずだ。、、行くのか?」

「確認します」




久慈山本人だった。

かなりほっとしたオレがいたことに驚いた。それほど危険性を感じていたということか。

こちらの世界の海千山千のあのギルマスでも、恐ろしいと言ったのだ。オレがそう感じて当然だろう。向こうの、狂気の世界が生み出した怪物、か。


オレは屋敷に帰り、夕食後に、皆に報告した。






数日ぶりにギルドに顔を出した、全員で、ミケも。

馴染みの受付の人に「魔法の訓練ってできませんか?」と聞く。


「・・・どなたが受けるんですか?」

「2人と3人が別に。2人はある程度できます。男3人は、、最低レベルっすか、、」

「おや、全員使えるんですか、それはそれは、、、ちょっと待っててくれますか?」

担当さんは目をそらすような眩しげな頭髪状態のおじさんである。親切なんで良い。やっぱこの街はいごこちいいんだろうなー。俺らから他の町に行ってみようと言う者は一人も出ない。王都に行ったことあるのに。



「またせたな。」出たな頑固親父!!ギルマス登場。

「男どもはオレが見れる程度だが、女性たちは、もう無理だ。なので魔女を紹介するからそっちへ行ってみな」


俺ら男は、週一の剣や弓の訓練以外に、週イチで魔法訓練をしてもらうことになった。

なので、少しは多めにギルドに貢献するために、なるべく依頼を受けるようにした。



「あれじゃね?危険がないけどあまり人気がないものを受ければ貢献度高いんじゃね?」

と山田が言った。山田?、ほんとに山田か?山田Aとかじゃないか?


「うん、依頼料が安いやつ、てのがほとんどだろうけど、数こなせばいいだけだし。ずっと掲示板に残っている依頼をきれいにしていくつもりで行けばいんじゃないかな?」小田


うん、でも小田はうちのことで忙しいから仕事増やさないでしいからね?気分転換になりそうなものあれば、言うからね?


「溝浚いとか?まぁいいけど。うちには風呂あるし、浄化して殺菌してくれる魔法使いもいるし。俺はいいよ?」さすがジミー神田!


「そうだな、俺らはそういったことに少しづつ魔法を使って楽しながらやっていけば、訓練にもなるし、いいよね」

山田おかえりw


「余裕ができたら狩りや討伐にも行かないと、鈍らない?」

バーサーカー世界に足を踏み入れないでね沖田さん?文官、折衝担当の自覚もってね?つか、魔法使いだよ君?剣のさえも最近すごいんだけど、どこまで行くつもりなのかな?

今最もツッコミどころ満載なのが、この沖田だ。まったりな俺らが真っ青だ。



溝浚い、草刈り、塀や屋根の簡単な修理(大工は忙しいのでなかなか来てくれない)、変わった薬草や野草採取、ネズミ退治(お猫様にご協力いただいた♪)、などなど、いくらでもある。力仕事は男3人でやれば、日に2−3件こなせる。採取は4−5人で一緒に行く。お猫様はお家の守り。


ルーチンワークみたいになってきたので、時間が経つのは早かった。

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