愛とか死とか

一子

第1話

私が静かに涙を零すと

彼は優しく肩を抱いてくれた

幸せだった

今人生が終われば

私の人生は最高だと思った

公園のベンチに腰かけ

少し涼しい風が頬を撫でる

彼の香りがする

ずっと一緒にいたかった

彼はおにぎりを食べ

私はりんごジュースを飲んだ

キスの味はお互い

おにぎりとりんごジュースだった

手を繋げば暖かく

声は優しく

私は生まれてき良かったと

心の底から思うことが出来た

この幸せが永遠であればいいのにと

叶わぬ恋の夢を見た

それでも彼の幸せを一番に願った

彼のためなら死ねるほど

愛おしくてたまらなかったから

私は今別の人と一緒にいる

あの頃あんなに愛していたのに

今は別の人を愛している

それは諦めがついたから

そうすべきだったから

私の、いつまでも報われない恋は

他の人に受け継がれたの

そう、その人も私を愛してはくれなかった

私は自分が誰からも愛されないことを知っていた

それでも愛することを辞められなかった

好きで、大切で、愛おしくて仕方なかった

だから自分の命を削ってでも

愛し続けるの

それが本当の愛だと思うから

あなたの幸せが何よりで

あなたのためなら私は死ねます

ずっと、そういう恋愛だけをしてきました

私の愛は本物です

そう、せめて信じたかった

だから信じることにした

誰もそこになんの価値も見出さなくても

私だけは大切にしたかった

悲しい夜空に向かって吠えたかった

声は出なかった

冷たい風が頬を殴る

私はどうしてこんなことをしているのだろう

一生報われることは無かった

ただ死を求め続けた

安らぎを

死の先には何があるのか

幻想の国か、虚無か

どちらにせよこの世界より

よほど美しく、幸福なものだろう

私の幸せ、私の希望はここにある

いつか訪れる、終わりに

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愛とか死とか 一子 @aaaaaaaaaaaaaaaaaa

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