文芸部の1番暑い日

teardrop.

第1話

「サンタの鞭がトナカイを走りへと駆り立てる。時は20XX年。多分12月」

「サンタって言ってたからそりゃそうだろうね」

暑さと訳のわからなさにぼんやりとした頭で彼女に言葉を返す。時は平成30年。平成最後の8月のことである。クーラーもない文芸部の部室で男女が汗だくになりながら会話していた。扇風機すらなく、唯一の窓とドアは全開にしてあるのだが風が全く通らない。柱に打った釘にぶら下がる水銀温度計を見れば37度とある。体温より高い。

バカじゃねーの。オゾン層働いてくれや。頼むからさぼるな。


「フランスの片田舎に住む少女は村を焼かれた腹いせに、イギリス軍に反旗を翻す!」

「それジャンヌ・ダルクだよね。割とおかしいけど」

この後輩も頭が相当茹だっているようで、先程から訳のわからないあらすじを垂れ流している。こんな壮大な入り方をしたのは吹奏楽部がスターウォーズのオープニングテーマを練習しているせいに違いない。いや、壮大じゃないのか。腹いせってわけわからん。


「立ちはだかるはヘンリー61世と、その四天王!」

「ヘンリー61世ってすげーな。イングランド王国滅びてないのか」

微妙に知的であった。7百年戦争やってたんかな。ジャンヌ・ダルク出てくるの遅過ぎない?…よくフランス軍は持ちこたえてたなァ。



「アイルランド!ウェールズ!ガスコーニュ!ノルマンディー!」

「半分近く今はフランスじゃねーか」

手酷い裏切りであった。


「村娘は木造船に乗り、ノルマンディーを倒すべくボルドーから旅立ったのだった」

「まって、ノルマンディーをフランス側が海から攻めるの?そもそもボルドーってガスコーニュの辺りじゃ」

ツッコミが追いつかない。今日の後輩はフルスロットルであった。早く終わんねーかな。しかし木造船とは…しばしばニュースで聞く北からの漂流船にインスパイアされたのかしら。


「次回、第2話。舞台は宇宙へ!聞き逃さないでくださいねっ(はぁと)」

「お前脳みそ茹だってるよ」

ジャンヌ・ダルクは一体どうなったんだよ。






正直オチがどうしようもない上に、展開が酷すぎたためにボツになった短編のひとつ。少しだけ肉付け出来たけれど、あまり付け加えすぎても…勢いが死ぬので。勢いがないとこんなもん読めないからね。

あとは設定だけあった真夏の部室とキャラクターを使って頭の湯だった語りに切り替えました。…いや、実はもともとは現代まで続いていた700年戦争と、志半ばで倒れたジャンヌ・ダルクの転生体と運命の出会いを果たした男の子のボーイミーツガール+兵器だけが中世のままの戦記とかにしたかったんだけど。結構調べたんだけど。

途中で気力が尽きました。誰か書いてくれてもいいのよ。そして私に読ませてくれ。ノルマンディーに攻め込むフランス軍とかコメディ過ぎるかな。むしろ笑えないのか?


もうキャラ設定とか舞台流用したドロドロでぐちゃぐちゃでムワムワの官能小説にしちゃっても良かったんだけど、カクヨムってそういうの多分禁止だよね?ってことで。



汗だくの主人公たちには2話目以降も回し役として働いてもらうことになると思いますが…さらに脳味噌ぐでぐでに茹だって行くと思います。一応ジャンルはラブコメにしたと思うので、そういう絡みも入れようかな。入れなきゃ詐欺だもんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文芸部の1番暑い日 teardrop. @tearseyes13

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る