ＳＳランクパーティでパシリをさせられていた男。ボス戦で仲間に見捨てられたのでヤケクソで敏捷を９９９９まで極振りしたら『光』になった……

第２３話「よぅ……！ シェイラ……」

「――よう、シェイラぁ……」

「ひぃ？！　ぐ、ぐ、ぐ……」

　まるで幽霊（ゴースト）にでも遭遇したかのように、カチンコチンに体を硬直させるシェイラ。

　あぁ、いい顔じゃないか。

　そして、その顔を忘れるはずもない────『星落（スターダスト）』（笑）の二つ名を持つ大魔術師（ソーサラー）さんよー。

　そう。

　この今にも漏らさんばかりのチビッ子こそ。

　命を懸けてまで救出してくれた恩人を、無情にも見捨てていったクソ恩知らず。

　誰あろうか。

　もちろん、『光の戦士（シャイニングガーズ）』のシェイラだ。

「しばらくぶりだな」

「う、うそ…………」

　グエンを下から上までながめ、そして再び顔を見つめて────真っ青になるシェイラ。

「ど、ど、どーやって？！」

　先ほど取り落とし、足元に転がった魔法杖が騒々しい音を立てていても気づかぬほどだ。

「──……ほ。ほんとに、ぐ、グエン？」

　彼女は、入り口から堂々と二本の足で入ってきたグエンとリズの姿に気付くや否や、一瞬にして顔を青ざめさせて二の句が継げないようだ。

　顔面蒼白から土気色。

　そして、今は真っ白になるどの変わりようで、ガタガタと震えている。

「あ、あ、あ…………」

　ドサリと、しりもちをつくとズルズルと後ずさる。

　足に力が入っていないのがありありと見えた。

「どーしたんだよ？」

　グエンはわかっていつつも、聞く。

　根性が悪いと言われればそれまでだが、こんなに動揺してくれるんだ。もう少し反応を見てもバチはあたるまい。

「ぁ、あぅあぅ……」

　そのまま、何度も何度も首を振るシェイラ。

　そして、

「グ……グエン、い、いいいい、生きて……？」

「────あ゛？」

　生きてる……………………だと？

「ふ……ッ」

　ふふふ。

　ふふふふふふふふふふふふ……。

「ひっ！」

　突如、怒気混じりの含み笑いを漏らしたグエン。その顔といったら───！

　その表情をまともに直視してしまったシェイラが悲鳴をこぼす。

「ひぃぃぃぃぃい！」

　いまにも失禁せんばかりに、顔を青ざめさせているが……、くくくく。

　いいねいいね、その表情ぉお。

「あははははははは、」

　あーはっはっは──────。

「ぐ、グエン？　アンタ…………」

「ひあぅ……！」

　そりゃあ～、生きてるともさ。

　呆れたような顔のリズと対照的に、シェイラは滑稽なくらい怯えている。

　そして、ついにはシェイラが口をわななかせながら、

「ご、ごめ――」

　あははははははははははは─────……。

　あーーーーーはっはっはっはっはっはっはっはっは！！

　グエンの豹変ぶりに卒倒しかねないほど、シェイラは怯えている。

　だが、グエンはむしろその様子を楽しみ、

　舌なめずりせんばかりに見下ろすと、

　───おう、ごらッ！

　ダぁン！！

　と、床を激しく踏み叩き。

「よぉ──…………シェイラぁぁあ。今さら何を宣（のたま）うつもりだ？　あぁん？！」

「ふええええッ…………！」

　怯えたシェイラを追い詰める。

　……さーて、どうしてくれようか？！