第7話  本物

目を開けると、目の前には柊がいた。


そういえば死んでない。


さっきの炎は?こいつが消したのか・・・?


私のこと?どういうことだよ、何がどうなってるんだ?状況が呑み込めない。



「嘘だろ・・・?俺の魔法を消した・・・だと・・・?」




「どこから情報が漏れたのか知らないけれど舐めすぎよ。その程度で私を殺そうなんて。」


柊は右手をスイッと軽く動かすといとも簡単に男を拘束し、その意識を奪った。


この女は誰なんだ?



俺でもはかれないほどの強力な魔力。人間じゃない、強力すぎる。今までの柊の量ではない、


しかし、それは間違いなく彼女のものだった。


「お前は何者なんだ・・・?」




すると彼女はくるりとこちらを向いて微笑みながら、


「初めまして。如月蒼さん。私は、元聖騎士のアリス・バレシウスと申します。」



その瞬間、茶髪にオレンジの瞳はきれいな金髪とすべてを見透かしているかのようなターコイズブルーの瞳に変わった。


間違いない、あの瞳は世界王の直系にのみ現れる色。



「は?アリス・バレシウス・・・?あの!?」


「あら、私を知ってるの?」

「当たり前だろ!あのギリシャ神話のゼウスをもとにしたゼウシス寮のエルピスで、歴代聖騎士の中でも圧倒的な強さを誇った、世界王の一人娘!この世界でその名前を知らないものはいないぞ!」


「あ、ありがとう・・・(笑)よく知ってるのね、」

「そりゃ、憧れてたし・・・」


「でもね?そんな肩書には何の意味もないのよ。ただの飾り。それ以上でもそれ以下でもない。」



そう語る彼女の横顔は恐ろしいほど美しかった。



「でも、さっきあなたに散々驚かされたから仕返しが出来てよかったわ(笑)」


驚いたなんてレベルじゃない・・・



彼女ほどの人間がわざわざ魔法科高校になんて通う理由がないだろう。


「なんで聖騎士を辞めてまで学生のふりなんて・・・みんなが羨むものなのになんでわざわざ手放したんだよ。」


「それは、今はまだ内緒。それに手放したわけじゃないわ。それより、せっかく拘束したしこの人たちを届けに行きましょうか。」


「届けるってどこに?」


「聖騎士の拠点に決まってるじゃない。ウルトルが関わっている以上この件は聖騎士の管轄になるわ。ついでに用事もできたし・・・準備はいい?いくわよ!」

「どうやって?ってうわぁぁぁ!」

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