16話・きらん
長々ながと、アリスが昨日教えてくれた魔法の使い方を三倍くらい難しくした講義が開かれています。
わー、さっぱり頭に入ってこない。アリスの教え方、すごく上手だったのね。
そんな事を考えていたら、ついに来ましたよ。
「では、リサ様少し試してみましょう」
「ハイ!」
緊張して、声が上擦った。
いっぱい話しを聞いたけれど、特に魔法の使い方が間違っていたわけでは、なさそうだ。
がんばれ、莉沙、負けるな、私! と、鼓舞してみる。
「いきます!」
ーーー
「リサ様、今度は風の精霊で試してみましょうか。大丈夫です。最初はイメージが難しいですよね」
ルードが慌てて、フォローしてくれたが、初めてじゃないんです。二回目です。うぅ、やっぱり無反応なのよ。精霊さん達が。ルードも首をかしげている。
なんで、誰も応えてくれないの?
何度か試してみたけれど、いっこうに応えてもらえなかった。
「今度は火で……」
「水で……」
「木を……」
色々と、話しながら試してみたけれど変わることはなかった。
「魔力は確認されているので何かが原因で魔法発動にたどり着けないのか……?」
ルードが、ぶつぶつと考え込んでしまった。
はぁ、この虚しい時間は何時まで続くのか。そう思っていると、衛兵さんが1人走ってこちらに向かってきた。そのまま、ルードの所に行き小声で何か報告していた。報告を聞いたルードがとても驚いた顔になった。
「何? カナ様が?」
あ……、聞こえちゃった。カナちゃんって聖女の子よね? その子に何かあったのかしら?
「すみません、リサ様! 今日はここまでで。急ぎの用事が出来てしまい。アリスト様にも、すみませんと」
「はい。伝えておきます。行ってもらって大丈夫ですよ。ありがとうございました」
ペコリと礼をすると、ルードは走って行ってしまった。
アリスはまだ戻ってきていないし、どうしようかな。手持ち無沙汰なのでふと思い付いたことをしてみようか? 今なら誰もいないし!
「光の精霊よ!」
きらん☆
アイドルポーズをとってみる。
光の演出とか、してくれないかなーっと思って。
しーーん。
すみません、気の迷いです。
いそいで、もとの姿勢にもどすと後ろからの視線を感じた。
「何してるの?リサ」
え……、くーるーりーと後ろに振り返ると、ライトが立っていた。
「……ライトさん、何時からそこに?」
見られた? 見られた? みられたーーーー?!?!
やらなければよかったと、ものすごい後悔におそわれた。
「なんで、そんな面倒なことしてるの?」
「ア、イエ……、アノ、コレハデスネ…」
なんと説明すればいいんだ!!
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