07話・あ、花嫁さんでもない?
「そんなに赤くならなくていいよ」
また、ふにゃりとアリスが笑った。とても、
「花嫁っていっても本当に結婚するわけじゃないよ。あくまで婚約的な? それに、リサちゃんはもとの世界に帰る方法を探すんだよね? だからそれまでの契約パートナーだよ!」
「あぁ、なるほど?」
納得していいのか、わからないけどとりあえず落ち着こう。アリスはなんだかふわふわしてて掴み所が難しそうだ。本気なのか、からかっているのか。ペースが乱される。
「それじゃあ、聖女って何をするの? 国の花嫁ってことなの?」
「うんとね」
長い話になるのか、アリスが部屋の片隅にある綺麗な装飾が施されたテーブルと椅子のある場所に行き、おいでと手招きする。座るのがおそれ多い気がするが招かれたのでストンと座る。
アリスがチリンと小さな鈴をならすと、侍女さんが中に入ってきてお茶の用意をはじめた。
いい香りの紅茶が出来上がり、侍女さんはさがっていった。
向かい合って座るので自然と目があってしまう。なんだか、照れくさいなぁ。
「聖女っていうのはね、伝説的なところもあるんだけど、国を守ることができる存在なんだ。聖なる力で光の精霊から特別な力を借りて、結界をはったり、傷や病気を癒したりすることが出来るんだ。魔法である程度似たようなことは出来ても、聖女の使う聖なる魔法とは比べ物にならない」
カチャリとカップを持ち上げる音がする。私もアリスの真似をしてカップの紅茶に口をつける。
「この国には、滅びの予言があるんだ。そして今その予言の出来事が実際に起きている」
「いったいどんな?」
「緑の月が青く光る時、過去の聖女が三の月に封印した魔物達が復活する。そして復讐に来るだろうと」
あ、あの青い月、本当は緑色なんだ。結局信号機みたいだけど。
「月の色が変わったのは一月前。この世界のどこかに聖女がいたとしても魔物が
アリスは紅茶のカップをソーサーにのせ、ふぅと、一息ついた。
「そんな、なんだかやばそうな話、私も何か手伝った方がいいんじゃ」
アリスは少しびっくりした表情から、ふわっと笑って手を頭にポンとのせてきた。またなでられた。
「ありがとう優しいね。ボク達の勝手に巻き込んじゃったのにね」
ポンポンと二回なでられた。一応、私、成人女性で子供ではないのだけれど。なんだか子ども扱いされているみたいでかなり恥ずかしかった。
「召喚された、聖女は国と契約し、国を守る。そして国を統べるものと一緒になって、この国の守護者になってもらうという予定だった。でも、彼女の魔なる力が10だったのが想定外だったんだ」
あぁ、私の正反対の数値ね。それってそんなに重要なのかしら。
「魔なる魔法を使う力がないということは、守ることしかできない。反撃が出来ないということ。永遠に結界で国をとじておくだけではどうしようもなくなるよね? 過去の聖女は魔法を使って撃退、封印している。しかし、先日現れた聖女は聖なる魔法は使えても魔なる魔法がほとんど使えない。焦ったと思うよ。聖なる力はあるからもう契約してはいるけどね」
アリスは私の指輪に視線を落とす。
「そこにリサちゃんが現れたんだよ。魔なる力が100でしょ? 二人で
そうか、それが魔女役ってことか。魔法のアタッカー役ね。
「となると、帰してもらえないってことになっちゃうのか。予言の復讐が終われば用なしで帰れたりしないかなぁ」
「まあ、無理だろうね。さっきも言ったけどその後も国の守護者になってもらうつもりだからね。帰すわけはないだろうね」
そっかぁ。自力でなんとかするしかなさそうだなぁ。とりあえず、契約には気を付けよう! すでにおそい気がしないでもないけどね。
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