第三話 目指せ! ランクアップ#0
創世記は伝える。
遥かな昔、遠い異世界『テーラ』から白き神と黄色き神がこの地を訪れ、この世界を作り上げたと。
訪れた神々は西と東に別れ、叡智の限りを尽くしてそれぞれ世界の基礎を作ったと言われる。
白き神は従族として人族を、
黄色き神は眷族として魔族を、
それぞれ産み出し、叡智と文明を授けた。
その過程で獣族や妖精族が誕生したと伝えられる。
神々は長きに渡ってこの世界を支配した。
魔法やそれを上回る技術によって世界は栄え、また様々な生物が誕生する。
都市は空を飛び、海の底にまで城塞が築かれ、星の彼方さえ神々の手は延びていたという。
その栄華はやがて終焉の時を迎える。
神々自身の手によるものなのか、それとも神々さえ超えるなにかの手によるものなのか。
今となっては原因を知る由もないが、突如として世界中に醜悪な化け物――魔物が出現したのである。
魔物達は強力な力を持っており、神々の力を持ってしても容易に抗うことはできず、瞬く間に世界は制圧されていった。
世界の過半数が魔物達の手に落ちた時、白き神々は決断する。
この世界もろとも魔物たちを焼き払い、全てをやり直すことを。
想像もつかぬ、口に出すのも憚れるような強力な技が解き放たれ、世界は七日間に渡って業火に焼かれ続けた。
しかしその豪炎は、神々の想像をも遥かに超える規模で世界を包み込む。
地獄の炎は魔物も神々も平等に一切区別することなく、すべてを炎に包み込んだ。
多くの神々が炎に巻かれ、それ以上の魔物達が炎に焼き尽くされてゆく。
しかし魔物達の数は、既に神々の予測を遥かに上回っていた。
どれほど多くの魔物が焼かれてもその数は減らず、むしろ自らの炎によって神々の方が数を減らす有様であった。
八日目。
神々は全てを諦め、この世界を捨てることを決断する。
魔物によって蹂躙され灰塵となった世界を捨て、人族も見捨てて神々は自らの世界へと帰還した。
しかし中にはそれを良しとせず、自らの創造物を見捨てることなく残った神々もいた。
全てが焼け野原となった世界に再び緑の恵みを与え、僅かずつ長い時をかけて世界を再生させていった。
だがさしもの神々も世界をかつての栄華を取り戻すまで再生させることはできず、また魔物は世界の一部として定着することとなった。
わずかに残った神々も再生の半ばでその力を使い果たし、長き眠りについた。
我ら人族は、いつかその心優しき神々が目覚める時を待ち、
いずれ再来する栄光と繁栄の時代に備え信仰を高め、
神々の敵である魔物と異端である魔族を討ち滅ぼす事こそ定められし使命なのである。
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