そして、世界に平和が訪れた
あきかん
戦士ルカルドの埋葬
勇者一行は魔王を倒した。これはその帰り道の話。
勇者は仲間の1人を背負い魔王の城を出る。勇者一行は魔王との激闘で仲間の犠牲を出した。戦士がなくなったのだ。
前線に立つ戦士の死亡率は冒険者パーティー内でも殊更高い。この戦士も最後の戦いでその例に入ることになった。
「ここでルカルドを埋めようか。」
勇者が呟く。他の仲間は精根尽き果てており、その場で倒れこんだ。
仕方なく勇者は1人で穴を掘る。戦士の大剣をスコップ代わりに掘り進める。
太陽が燦々と荒野を照らす中、勇者一行は戦士の弔いを行った。
いつくしみ深き友なるイエスは
罪、咎、憂いをとり去りたもう
心の嘆きを包まず述べて
などかは下さぬ負える重荷を
クレリックは弔いの歌を歌う。勇者もそれに続いた。ウィッチは離れてこちらを見つめている。
勇者と戦士は同郷の友であった。勇者は幼き頃から戦士に助けられてきた。戦いの場では勿論のこと、町の厄介者であった勇者家族に手を差し伸べてくれたのが戦士であった。
「呪いなんて下らない。そんなものは俺の力で払いのける。だから、一緒に戦いの訓練をしよう。」
戦士は勇者にそう言って町外れの家から連れ出した。その頃、魔族の脅威は田舎の町にも現れ始めていた。
「ルカルド…」
勇者は戦士の亡骸を埋めた土の上に大剣を突き立てた。帰り道はまだ始まったばかりだ。
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