第612話 ビル風に珈琲の香や蝶の昼



 ビルとビルのあいだを歩いていると、ふっと鼻先をかすめてゆく珈琲の香り。


 とそこへ、すいっと紋白蝶が舞って来て、不定形な弧を描きながら商店街へ。


 こんなところで迷っていないで、木立や池、花のある公園へ早くお帰りなさい。

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