第322話 夏夕べ異星に栖める犬のこと

 

 

 

 10年前に異星に召された犬の気配を、いまだに身近に感じることがあります。


 ふとしたとき漂う匂い(犬の背に顔を埋めた幼い娘たちが「うわあ、いい匂い!卵やきの匂いだね~」(笑))、いたずらしたときの神妙な上目づかい、さびしいとき甘えたいときの「くふ~ん」という鼻声……こうしているいまもすぐそばに……。


 ひとり暮らしの宵、寝室の小窓から見上げる空の星に犬の笑顔を探しています。

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