第318話 香草のむらさきの原夏の蝶
高架のバイパスになった国道を走る車窓からは見えにくい所に、水道局の広大な公園が展開していることを知っているのは、周辺の一部市民だけかも知れません。
やさしい薄紫の波が寄せては返すラベンダーの盛りを、ほとんど見る人がいないことが惜しまれますが、白や黄の夏の蝶たちにとってお伽の国にちがいなく……。
数多の種類があるハーブのなかで、かたくなにラベンダー以外の一木も植えさせようとしなかった先達のセンスが、たまに通りかかる散歩の足を喜ばせています。
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