第317話 父がいて母がいたころ桑いちご

 

 

 

 最近は桑いちごを目にする機会も少なくなりましたが、農家で養蚕が盛んに行われていたころは、一面の桑畑で、この季節、甘い野生の味を存分に楽しみました。


 稚蚕飼育(卵から育てる)も引き受けていた両親の多忙は大変なもので、室内の温度を調節したり給餌したり、黒胡麻のような小さな生き物に四六時中付きっきりで、夜中に目覚めても、父も母もそばにいることはほとんどありませんでした。


 それから幾星霜、思えば本当に遠くへ来たものだと、歳時記を繰りながら。📖

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る