第305話 百合一輪ただ事ならぬ清らかさ


  

 

 狭庭の一画、知らぬ間に咲き始めていた透かし百合の純に見惚れました。


 凛然と真っ白な花弁の芯に向かって、淡紅色がほのかに刷かれています。


 毎年、律儀に咲いてくれる百合の群れに、平凡な日常のありがたさを……。

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