第222話 遠ざかる電車の尾燈春の宵

 

 

 

 頭上の月も星も、地上の街や山や川も、なにもかも淡く滲むような春の宵。


 踏切を遠ざかってゆく電車の尾燈は、どこかへ行ってみたいという旅ごころと、とり残されたようなさびしさ、いやいや、自分はこのまちで生きるのだという覚悟めいた思い、あるいはまた、いつもに増した無常感など、複雑な感懐を誘います。



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 なれど、もっとも忍びがたきは、遠く住む大切な人たちへの尽きせぬ想い……。

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