第202話 ぶらんこの幼の背をそつと押す

 

 

 

 公園の鞦韆ぶらんこはけっこう危険な遊具なので、ホノカは気が気ではありません。


 すぐとなりで立ち漕ぎする男子小学生のあまりの勢いに、生来、他の子より華奢な3歳の末娘が弾き飛ばされてしまいそうで、かたときもそばを離れられません。


 小さな両手で懸命に鎖を握っている背中を、そうっとそっと押してやるのです。

 

 

                 ☀

 

 

 そんな遠い記憶があるので、ホノカはいまも、ぶらんこが好きではありません。


 見知らぬ幼子が乗っているのを見ると、つい駆け寄りたくなってしまうのです。

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