応援コメント

第190話 三椏の花や前衛ミュージアム」への応援コメント

  • さきくさの三椏の花 軒に見て 小鞠と染し暖簾わく
     学生時代、詩歌論の課題として提出した和歌です。
     教授の研究室に呼び出されました。
    「さきくさの…なんて枕詞、よく知ってるね」
     あっ、きっと褒めてくれるんだ…と、僕はちょっと嬉しくなりました。
    「軒下に三椏の花が咲いているのを見て小鞠のようだと思い、小鞠という店名が染められた暖簾を手でワけて店に入った…みたいなストーリーの歌かい?」
    「はい」
    「もしかして、さきくさの"さき"と軒さきをカけてみようとか思ったの?」
    「はい」
    「小鞠という名の小料理屋は実在するのかね」
     この時点で察しのいい僕は、「あっ、やっぱりダメ出しだ」と観念しました。
    「いいえ。小料理屋になんか入ったこともありません。下戸ですし」
    「"暖簾をワける"の一般的な意味を知っているか」
    「支店を出させてやるみたいな意味です」
    「そうだね。私の言いたいことはわかるかね」
    「はい。二十歳やそこらの貧乏な若造が小料理屋なんか一度も入ったこともないくせに、しかも下戸なので一生小料理屋や料亭どころか赤提灯のお世話にもならないだろうに、知ったかぶりしてこんな姑息な歌なんかヨんではいけないということです(たしかこんな感じの超自虐的発言だったと…)」
    「私は、そこまで言うつもりはない。(まっ、その通りだけど…と目は言っていた)」
     研究室を出る時に「君は三椏の花が好きですか」ときかれ、「はい」と答えると、教授は「あれは好い花だね。小鞠みたいで」と笑顔で言ってくれました。
     以上、僕の三椏的黒歴史でした。忘れがたい花です。

    もっと花芯を見たいと無遠慮に覗き込んだ無粋に恥じ入ったりもし→
    もっと花芯を見たいと無遠慮に覗き込んで無粋に恥じ入ったりもし…でしょうか。











    作者からの返信

    今回のコメントでも、Mondyon Nohant 紋屋ノアンさまの学生時代に思いきり引きこまれました。
    惚れてまうやないかい。(笑)