第180話 北向きのペットショップや春北風
なにも知らない仔犬たちが、四六時中、まばゆ過ぎるライトに照らされ、商品のように(現行法ではいまだに動物は「物」のまま)値札を付けられている情景は、少しでも業界の内情を知っている身には、痛々しくて、とても正視できません。
その店の状態はことにひどくて、春とはいえ寒い北風が吹き抜ける北向きの日陰の表通りに面した犬舎に柴の仔犬を入れたままにしているのです。そこを通るたびケイコは強い憤りに駆られ、できれば店に乗りこんで直談判したいくらいでした。
🐕
3年前、なにも行動しない自分への怒りも含めて詠んだのが掲句ですが、新しく出来た大型ショッピングモールに大資本のペットショップが入ったせいか、あるいはどなたかの怒りの声が寄せられたのか、拙句が句誌に掲載されて間もなく、吹きさらしの北向きの犬舎から仔犬のすがたは消え、以来、ほぼ物置と化しています。
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