第148話 腕立ての近づく床や春隣


 

 

 

 小学校のころ。

 身体が大きいという理由だけで、柔軟体操のクラス代表に指名された。

 体育館に集まっての開脚ができず、毎晩、生の酢を飲んで胃がただれた。

 

 中学のころ。

 身体が大きいという理由だけで、運動会のリレーの選手に指名された。

 カーブで派手に転び、体育責任者だった担任の面目を大いにつぶした。

 

 高校のころ。

 合唱部のオペラに村人Bとして出演。文化祭の前、リハーサルを見に来た教頭に「おい、そこの村人。ヒロインが霞むから後方へ下がれ!」と大声で怒鳴られた。

 

 大人になってからもコンプレックスは去らず、記念撮影ではいち早く最後列の端っこを確保し、肩を斜めにして、少しでも嵩を少なく見せる工夫をつづけた。

 

 

                 🍃

 

 

 そしていま。

 元ボクサーのお笑い芸人・しずちゃんを目標に、日々、大腿二頭筋&上腕二頭筋を中心とした筋トレに励んでいる。24㎝のスニーカーを恥じなくなって久しい。



                 👟


 

 以上がメイのコメディアン人生。もうとっくに異界の住人になっているであろう教頭氏に「あのときはどうも……」いつかきちんとお礼をしなきゃと思っている。

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