第112話 白鳥のつひと流れて寄り添ひぬ

 

 

 

 

 「白鳥湖」と呼ばれていますが、本当は蛇行した犀川の水が少し澱む場所を湖と名づけているだけなので、ここに集う白鳥swanはいつも、流れる水に浮かんでいます。


 いましも1羽の白鳥が下流へ運ばれて行こうとすると、目ざとく見つけたカップルの一方が、すいっと流れに乗って、妻 or 夫にぴたりと寄り添いました。(^_-)-☆


 白鳥の家族は仲睦まじいことで知られていますが、グレーの柔毛にこげの子どもを連れていないところを見ると、成鳥になったばかりの若いペアなのかもしれません。

 

 

                 💛

 

 

 営業まわりの途中で、ふと立ち寄ってみる気になったトオルは、かなり以前から気になっていながら言い出せずにいる、事務職のトモコの顔を思い浮かべました。


 黙って寄り添える人がいるってすてきだな。

 今度の週末、ここへ誘ってみようかな……。

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