第96話 凍蝶に雲間のひかり集ひけり


 

 

 

 

 セイジが通院している心療内科の主治医の、もっとも重要なアドバイスは、


 ――義理より命。


 縛られることが多い若い時代は仕方ないとしても、定年退職したいまは、いやなことは拒否していい、苦手な人とは連絡を取らない、それが心の健康の基本だと。

 

 

                 ⛅

 

 

 昔語りが好きな知人に付き合わされ、美しいばかりではなかった過去を無理やり振り返らせられることに多大な苦痛を覚えるセイジは、その手の人に会ったあとは決まって自律神経の調子を大きく崩し、胃痛や嘔吐、呼吸発作に悩まされます。


 けれど、何事も断乎拒否には相当なエネルギーが必要なので、つい面倒になり、長い物に巻かれる関係をダラダラつづけて来たのですが、今度という今度は限界、自分の命は自分で守るしかないのだと、しっかり決意したセイジです。"(-""-)"

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