第82話 涸滝に水のまぼろし競り上がる


 

 


  

 長編小説の手直しに全集中(笑)していた頭と肩をほぐそうと湯船に浸かると、ラジオから流れて来たのは、女性シンガーソングライターの澄んだ歌声でした。

 

 ――わたしをカスタマイズしないで。

 

 というのが自作曲の意味だという説明に、ひとり拍手喝采したケイコです。👏

 

 

                 🛀

 

 

 女性を自分の好みに染めたいというのは、源氏物語の昔からある種の男性たちの根強い嗜好のようですが、現代女性にそれを求めたらその時点でアウトでしょう。


 幸いにもと言いますか、不幸にもと言いますか(笑)、ケイコの場合、支配欲の強い男性のカスタマイズをそそる、ナニカが根本的に欠如しているらしく、この歳までそういう目に遭ったことがないのですが、かりにも創作に携わっている人間としては、男女の心理の綾に、やや経験不足の気味、なきにしもあらずやと。( ;∀;)

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