第31話 愉しき日トルコブルーの毛糸編む
一昨年、地方公務員を定年退職したハルヤは、いわゆる手編み男子。
名前のとおり、秋になると、ついつい毛糸と編み棒に手が伸びます。
いま編んでいるのは、数年前に東北の被災地から取り寄せた美しいブルーの中細毛糸で、同じ色を2本取りにしたり、別の色と組み合わせたりして、キャンバスに向かう画家のような気持ちで、毛糸が織りなす繊細な美の世界を楽しんでいます。
🎨
――♪ た~ての糸はあなた~、よ~この糸はわたし~。
楽しいことをしていると、知らず知らずに好きな歌も飛び出そうというもの。
――ねえ、中島みゆきさんの『糸』は、毛糸じゃなくて織物なんじゃないの?
ツッコミを入れてくる妻、サクラのためのマフラーを、いま編んでいるのです。
――♪ 逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合せと呼びます。
ふだんは照れくさくて言えないことを、さりげなく歌に託したつもりでしたが、サクラの関心は、早くも犬のヒマワリに移っているらしく……。
🐕
なんだよ。
ちょっと拍子抜けしたハルヤですが、サクラとしては、ハルヤの縦糸とサクラの横糸にもう1本、斜めに交差するヒマワリの糸も入れたいようで……。(#^.^#)
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