君色透明人間 / スズラン

亞屍(あかばね)

君色透明人間

 明日あしたれたらんでみよう。

 ちゅうのテレビのてんほう明日あすあさからのあめしん満々まんまんげたので、ぼくかさって明日あすなにひとわらずきていくでいながらも、やはりどこかでぬきっかけとでもえるなにかがしくて、だからこんなことをおもった。

 あつよるだった。


 よくあさめると、あおぞらにおいがはなした。

 とりごえ、あまりにまぶしいあさ、こんなにれいれたそらしたぜつぼうがあった。


 さくじつのテレビはなんだったのだろうか。みょう清々すがすがしいぶんにもなったが、やはりうつくしすぎるあおぞらなんばくざいにもならず、あげ「こんなれたにたくはないな」というのんことしんぞうらした。

 わがままだ。わがままぼくがいた。わがままぼくがきっと、そうったのだ。


 かたなしに今日きょうきてみようとしたのだが、けっきょくのところしあわせなんてものはえないわけで、えないものはとうぜんしんじられないわけで、どこかのうたにもあるとおいっぽんせんいたつらさこそがしあわせというがいねんしん姿すがたなのだとつうかんした。


 おくじょうぬことをけつした。こんなそらでもないとそとせて、そしてにたくもなくなるだろうとかんがえたのだ。ぶんにとって、さいしょさいけつだんだとおもう。


 なにかをさっした【Nubes】はおくれておくじょうへやってた。


「⋯⋯ぬの?」


「あぁ。」


 かのじょだまって、ただうつむいた。


 それが、いたかったのだ。


「ごめんね。」


 ぼくいっうしろにがった。じゅうりょくんだ。

 じきにぼくぬだろう。


 いまから、じょうとうわせてもらおう。


 きみおなまれることはできなかったけど、せめてぼくらがひとつになれるようにと、ほんとうおなにたかった。

 でも、きみのこしてさきんでしまうぼくを、どうかゆるしてくれないか。




 明日あしたになったならんでみよう。

 いいげんけっしんがついたのだ。昨日きのうのようにてんいのちあずけられないし、かならずやってくる明日あしたがいしゃげてんでしまおうと、そうおもったのだ。

 もうは作らない。のこりのじんせいまっとうしようじゃないか。


 あいいのり、ろうどう

 それらすべてが、じつぼくらをころさないようむしばんでいる。なにかをうばっている。そのしょうたいめいなにかにくさらせられるのがこわくて、ひっうでつかまれないようはしまわるが、どちらにせよかれらからげるほうほうつのみであり、それがぼくにとっては明日あしただった。


 おくじょうぼくつめるかのじょひとみに、何故なぜにじんだぼく姿すがたうつった。

 そしてぼくおもした。あのじょうとうの続きを。


 きみおなまれることはできなかったけど、それでもきみおなを生きられたことだけは、ぼくゆいいつしあわせだったんじゃないかって、そうしんじているよ。




 明日あしたれたらんでみよう。

 テレビのあめげるそのざつおんみみかたむけながらおもった。

 ほんとうれたらいいのにな、とどこかでねがっていた。




【君色透明人間】


明日が晴れたら死んでみよう 明日は雨と予報され思った

朝、目が覚めると青空の 匂いが鼻を劈いた

こんな晴れた日に死にたくはないな 我儘な僕がそう言った

仕方なしに今日を生きてみた 幸がどこか欠けていた


君のその眼球に映る僕を 見ていたくはなかった

朽ちていきそうなくらいに 廃れて病んだ言葉


君と同じ日に生まれることは 叶わなかったから せめて

君と同じ日に消えたかったが 先に逝くね、ごめんね


明日になったなら死んでみよう 明日は来ると囁かれ思った

逃げ場は作らないと覚悟して 今日を大切に生きた

愛も祈りも義務も労働も 僕らを腐らせるためにあるんだ

腕を掴まれないようにするには 明日を待つしかなかった


君のその眼球に映る僕が 儚く見えてしまった

朽ちていきそうなくらいでも 君に手渡した言葉


君と同じ日に生まれることは 叶わなかったから せめて

君と同じ日に消えたかったが 先に逝くね、ごめんね

君と同じ日に生まれることは 叶わなかったけど だけど

君と同じ日を生きられたことが 僕の幸です


明日が晴れたら死んでみよう 明日は雨と予報されて思った

本当に晴れたらいいのにな どこかで願っていた

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