第18話 魔の手、そして…

歓迎会はやっぱりという感じで居酒屋だった。




そして塾長の隣に座らされた。




私は頑なにジュースしか飲まないといい、ジュースだけを飲んだ。




隣に座っている塾長はお酒も入って陽気になり、つばを飛ばしながらガハガハと笑っていた。




酔っ払って立てないといい、私のほうに転がってひざの上に倒れたり髪の毛や肩もベタベタと触ってきた。




「辞めてください」と勇気をもっていっても、「酔っ払っているから」の一言で周りの先生もスルーしていた。




いつも以上のセクハラに頭にきて帰ろうと鞄とコートを持って席を立とうとした。




“パシッ…”




手首を塾長に思いっきり捉まれた。




「イタッ…離してください!」




「痛がる顔も可愛いな~」




“ゾワワワワワ…”




全身に鳥肌が立つのを感じた。




「離しッ…」




思いっきり手を振り払おうと思っても体に力が入らない。




「奈々ちゃん?」




頭がグラグラして立ち上がれない。




とうとう座り込んでしまった。




「奈々ちゃん?おーい。」




塾長はそばにいるはずなのに声が遠くから聞こえる気がした。




「なんか、急に睡魔が…」




お酒飲んでないのに何で?




“ドサッ…”




その場に倒れこんでしまった。




「お客様!?大丈夫ですか?」




店員さんの声が聞こえる。




「大丈夫です。酔ってつぶれただけですから。」




え?私お酒飲んでないの知っているよね?




「じゃあここにいたら邪魔だから帰るか。コイツの住所どこだ?」




“ガサガサ…”




鞄をあさっている音が聞こえる。




「ここか~タクシーでいくか。鍵はこれだな。」




運転免許書で住所を見たのだろう。




今まで家がばれないよう頑張っていたのは何だったんだろう。




「あれ?コイツ意外に重い。」




そう言いながら奈々を持ち上げてタクシーに乗る。




耳元でハァハァ言っている声がさらに気持ち悪くて、体が動かなくても鳥肌が立っていた。




タクシーから乱暴に降ろされ、雪の上に放り投げられた。




「酒飲んで力でねぇ~」




そう言いながらもう一度私を引きずり出して玄関の鍵を開ける。




「へへッ」




部屋のベッドの上にまた乱暴に私を投げた。









“ビリビリビリ…ブチブチブチッ…”




ブラウスを強引に脱がせたためボタンはちぎれ、スカートもファスナーが壊れてスカートが破けた。




やめてという声も出なければ、殴り飛ばそうという力もでない。




「やっぱ若い子はいいな~睡眠薬結構効いてるな。」




コイツジュースに睡眠薬いれたんだ、最低。




“ペロン…”




ブラをずらして胸を舐めてきた。




「あぁ…美味しい。寝てても感じるんだな~あっちは感度はどうかな。」




そういってスカートのほうに手が伸びていった。













“ドンドンドンドンドンッ…”









玄関を叩く大きな音で重かった瞼が少しだけ開いた。




「こんな時間に誰だよ。」




そう言いながら塾長は無視して行為を続けようとした。




“ドンドンドンドンドン…”




「はぁ~」




ため息をつきながらズボンをあげ玄関へ塾長は向かった。




玄関のドアののぞき穴から外の相手をチェックしている。




「…男?」










「奈々!!!」














奈々って呼ぶ男は一人しかいない。 
























先生だ。










「せ…んせ…」




重い口が少しづつ開いてきた。




「ヤベッ起きたじゃねぇーか。」




「開けないと警察呼びますよ!」




「警察だぁ!?」




警察の言葉に反応して塾長は鍵を開けた。




「奈々!!」




先生は塾長を無視して奥の部屋へ土足であがる。




体も少しづつゆっくりと自由がきいてきたが、まだまだ普段どおりには動けずベッドの上に奈々はいた。




「先生…どうして?」




床はボタンが散り、胸は露わになり、スカートもパンストも破け、髪の毛もグチャグチャ、背中は雪で濡れていた。




塾長はその間身なりを整え、鞄をもって逃げ去ろうとしていた。




「おい!!!」




“ドカッ…”




「や、やめてください…ごめんなさい。」




先生は塾長に殴りかかった。




「二度と現れるな!」




「はぃぃぃぃぃ。」




そういってそそくさと奈々の部屋を出て行った。




「奈々…」




そういってギュッと抱きしめられた。




「ごめん。」と何回も耳元で呟いていた。




私たちは一度離れたのにまたクロスした。




もう離れ離れは嫌だよ、先生。




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