短篇集(刹) 【シリーズ最終作(リニューアル版に続く!?)】
貴音真
第1瞬「夢の中の女」
俺は昔から同じ夢が見る。
正確には、昔から同じ女が出てくる夢を見る。
その女は俺が小学生になった頃から夢に現れ始めた。
夢の中で俺とその子は仲良く遊んでいるのだが、起きると顔が思い出せなかった。
中学、高校と俺が年を重ねるにつれて夢に現れるその子も共に年を重ね、少女になり女性となった。
そして、俺は
その女性は俺より一つ年下だった。
その子は夢の中の女に似ている気がした。
似ているといっても夢の中の女の顔は相変わらず思い出せないため、なんとなく似ているという程度だった。
結婚してから三年後、妻が妊娠した。
俺は喜び、妻も喜んだ。
しかし、妻は喜びつつも子供を産むことに
俺はその理由を妻に訪ねた。
そして、妻はその理由を語った。
妻には一つ年上の姉がいたが、その姉は小学校に上がる直前に事故に遭って亡くなってしまったらしい。
事故原因は、妻の姉が左右を確認せずに道路に飛び出したからだった。
妻の両親は娘がそんなことをするはずがないと行ったが、目撃者は運転手のみしかおらず、事故は運転手の確認不足による過失ということで済まされた。
妻は姉を亡くしたときの自身と両親の悲しみから子供が生まれたあとで、事故で失ってしまうのが怖いと俺に言った。
その話を聞いて俺は昔あった出来事を思い出した。
俺には小学校に上がる前によく遊んでいた女の子がいた。
ある日、俺とその子が鬼ごっこをして遊んでいるとき、その子は鬼の俺から逃げているときに道路へ飛び出し、車に跳ねられた。
怖くなった俺は、その子がどうなったのか確認もしないで走って家に帰った。
その子はどことなく妻に似ていた。
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