遺書、反せば生書

夢見言

第1話

 追うべき夢がある。子供の頃からの夢だ。これを叶えることができないと、死んでも死にきれない。だから僕は生きていこうと思えるんだ。


 「夢は見るものじゃない、魅せられるものなんだ。」


 君は無邪気に笑ってそう言ってくれたよね。あの一言がこれまでどんなに支えになってきたことか。


 「生きていれば、奇跡の一つや二つ起こる」って、


 この蒸し暑い夜に、そんなことを考えている。


 でも、そうじゃない。


 夢は実現できないんだ。だって、どんなに努力しても夢を叶えられない人だっている。僕にできる訳ない。天才でもないこの僕に。


 僕の夢はいつも馬鹿にされるんだ。そりゃそうだ。実現不可能。セイコウカクリツゼロパーセント。誰にだってそう見える。


 「ねぇ、そんなのやめちゃいなよ」


 「なに夢見てんの?厨二病じゃん」


 僕の小説を読んだ人は決まって僕に毒を吐く。


 「頭おかしいんじゃない?」


 「なんでやろうと思ったの?」


 僕の歌を聴いているとき、みんな不快そうにする。下手だと分かると嘲笑する。


 「さすがにないでしょ......」


 「よく披露できたね」


 僕の絵を見て、扱き下ろす。僕が十時間かけて描いた絵も、まるでゴミかのようにみなされる。


 「嫌がらせのつもり?」


 「気持ち悪い」


 君にそう言われてやっと分かった。僕の目を覚ましてくれてありがとう。


 「信念を貫くのは凄い」


 そんなの嘘に決まってる。


 もう頑張れないよ。夢も潰えた。


 これ以上、生きていく意味もないし、僕は今日死んだ方がいいみたい。



↑反せ↑

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