緑の怪物

黒瀬真白

むかしむかしの物語


むかーし、むかし、とある王国にみどり色の目、きん色の髪をもった王様がいました。

その王様はとてもかしこく、また王国一のまりょくをもっていました。

王様はとてもうつくしい王妃様となかよく暮らしていました。

しかし、なかなか二人には子供ができませんでした。

そこで王様はふたりめの王妃様を迎えることにしました。

そのふたりめの王妃様もきれいな人でしたがいじわるで、とてもしっとぶかいひとでした。

王様はふたりのおうひさまを同じようにたいせつにしましたが、ふたりめの王妃様は自分がいちばんでないとなっとくできませんでした。

いちばんめの王妃様と王様を見てしっとし、ついにはいちばんめの王妃様をころしてしまいました。

王様はそのことにひどくおこり、かなしみ、にばんめの王妃様をころしてしまいました。

王様はその日からしごともせず、ひきこもるようになりました。

そのかなしみがあふれ、まるで形にになるようにその国に不幸がつぎつぎに起こるようになりました。

あめはふらず食べ物はそだたず、ひどくさむくなり、国民はひとりまたひとりとその国をさっていきました。

そんなある日、黒いとてもこわいもやもやが王国の城をかくしてしまいました。

そのもやもやが無くなったとおもうとお城はくずれ、そこには大きな大きな怪物がたっていました。

怪物はひどくみにくい姿をしていました。

おどろくことにそのみにくい怪物の目はみどり色でした。

この王国の王様とおなじ目の色をした怪物は黒いもやもやを口からはきだしました。

そのもやもやにふれた人や、動物はたおれ、しょくぶつはかれていきました。

お家だけがのこった王国をその怪物はおそろしいなきごえをあげながらこわしました。

王国をこわしおえると怪物はいつのまにかきえていました。

そこにはなにものこりませんでした。


おしまい



セレンディト大陸 童話集より

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