第26話 いろいろと せいちょう してます

連休中も毎日更新の予定です!


~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~


 異変はすでに始まっていた。


「あっ!」


 いつも通りレベルアップに励んでいたルナが声を上げる。

 目の前で、海水で錆び付いたメタルムが消滅していた。


「ダイチ様、またレベルアップしたようです」

「どれどれ……?」


 ルナは俺の前でステータスを展開する。




  名前   : ルナ

 レベル  : 31/99

    力 : 148

   魔力 : 189

   体力 : 173

  素早さ : 137

  耐久力 : 168


 ジョブ  : 聖女


 スキル  : 大回復LV4 浄化LV4

        明光LV4  結界LV4

        怪力LV4  状態回復LV2

        突き飛ばしLV3 瓦割りLV1




 強っっっっっ!!


 魔力がもうすぐ200に到達しそうだ。

 力も強いし、体力も上がってきた。

 正直チッタの守護がいらないぐらい硬くなってきてもいる。


 ここに精霊たちの加護が入るんだから、かなり強い。

 脳筋聖女伝説が幕を開けそうだ。

 そもそもスキルの種類からして、煽ってるよな。


 「状態回復(2段階目)」はいいとしても、「突き飛ばし」「瓦割り」って明らかに戦士系のスキルだぞ、これ。


 「突き飛ばし」は読んで字のごとく、相手を突き飛ばすスキルだ。

 確か「力」+「体力」+「素早さ」の値に応じて、敵を彼方に飛ばすことができる。

 ルナの3つの能力値の合計は、「458」。

 相手の「体力」によって判定が変わったはずだけど、下手をしたら大陸の彼方まで吹き飛ぶな、こりゃ。


 スキル自体にダメージは入らないけど、落下や叩きつけられた時の衝撃はダメージになるし、敵との距離を置く時に使うのもいい。


 「瓦割り」は防御ダウン系のスキルだ。

 「瓦割り」→「盾砕きシールドバッシュ」→「亀甲羅割り」と派生する。

 普通は盾騎士や戦士系のスキルなんだけど、何故か聖女であるルナは覚えてしまっていた。


 そりゃ僧侶系は、防御ダウン系のスキルを覚えることはあるけどさ。

 すごい作為を感じるぞ、これ。


 でも、1番驚きなのは、実はレベルアップの速度なんだよな。

 メタルムを使ったレベルアップは、もちろん効率がいい。

 とはいえ、レベル31ともなれば、さすがにレベルアップが難しくなってくる。


 それでもルナは定期的に上がっていた。

 いや、むしろ加速がついたのか、レベル30からレベル31の間が随分早かったような気がする。


「ダ~~イ~~チ!!」


 はしゃいだ声が背後から聞こえた。

 飛び込んできたのはミャアだ。

 後ろから俺を抱きしめる。


 むにゅ……。


 柔らかい感触を感じて、俺は背筋がピンとなった。


「どうしたの、ダイチ?」

「な、なんでもない!」

「ミャアさん、離れて下さい。ダイチ様が困ってます。それに何度言ったらわかるんですか? ダイチ“様”です。ダイチ様は大魔王様なんですから」


 ルナは眉間に皺を寄せて、さらに頬を膨らませた。

 怒り顔は怖いけど、ルナの表情も随分とバリエーションが出てきたな。

 いつも怯えていて、自信のないルナが懐かしいほどだ。


「別にいいみゃ。ミャアたちはダイチの部下になったんじゃないみゃ。ダイチとは同盟関係――対等の立場みゃ。ルナとは立場が違うみゃ」

「むぅ……」

「別にルナだって、俺を呼び捨てにしてくれてもいいんだよ」

「……で、できません。そんな――――は、恥ずかしい……」


 ルナは赤くなった頬を隠す。


 よ、呼び捨てが恥ずかしいってどういうことだ。

 ダイチって、マナストリアでは変な意味だったりするのだろうか。

 確かにエヴノスには大魔王にはふさわしくないっていわれて、グランドブラッドって中二病的な名前を与えられたけど。


「ところで、ミャア。何か用があったんじゃ?」

「あ! そうみゃ! ミャアもレベルが上がったみゃあよ」


 俺は早速ミャアのステータスを見せてもらった。




  名前  : ミャア

 レベル  : 22/90

    力 : 187

   魔力 : 74

   体力 : 143

  素早さ : 183

  耐久力 : 114


 ジョブ  : ナックルマスター


 スキル  : 正拳突きLV3 瓦割りLV1

        ためるLV1  チャクラLV1




 げげっ!

 「力」が187???

 やっっば!!

 ドリーの加護で「力」が「+50」加算されるから、楽々200突破だ。


 ブラムゴンの体力は確か「200」。

 この時点で力が防御力を上回っている。

 それにナックルマスターのミャアには、ジョブの補正に加えて、スキル「正拳突き」がある。

 1.5倍の攻撃を与えるスキルに加え、「ためる」まで覚えてしまった。

 「ためる」の効果は攻撃力2倍だ。

 それだけでも、攻撃力500はくだらないだろう。


 下手するとブラムゴンのヤツ、一撃で撃墜もありうることになってきたぞ。


 ルナも結構化け物だと思ってたけど、ミャアも化け物だ。

 これでレベル22なんだから、カンストしたら地震とか起こせるんじゃないか。


「しかし、レベルアップが早いな。もうレベル22か」

「私の時より随分と早いですね」


 ミャアのレベルアップの速さに、ルナも感心していた。


 ナックルマスターの成長補正か。

 いや、それにしたって早すぎる。


 念のため、俺は村のみんなのステータスもチェックした。

 やはり明らかにみんなの成長が早くなっている。


「大魔王様!!」


 大声を上げてやってきたのは、村の子どもたちだ。

 手にはジャガイモが握られていた。


「すご! もう獲れたのか」


 ゴロゴロとした立派なジャガイモだ。

 中を開いてみると、なかなか瑞々しい。

 おいしそうだ。

 ミセスに頼んで、ジャガバターでも作ってもらおうかな。


「これだけか?」

「ううん。まだまだ獲れると思う。すごい成長速度だよ」


 芽が出てから、まだ数週間しか経っていない。

 異様な成長速度だ。

 ドリーのスキルのおかげだろうが、レベル2になったことによって、さらに加速したらしい。

 このペースだともう1回作付けしても冬まで間に合うかもな。


「ん? 成長速度?」


 ふと俺は何か思い当たった。

 俺はドリーに話しかける。


「ドリー、これってもしかして……」

『はい。私もダイチ様と同じことを考えておりました。おそらく皆さんのレベルが上がりやすくなっているのは、私のスキル「成長促進」によるものでしょう』


 やっぱり!


 作物だけかと思っていたけど、まさか人族や獣人族にも効果があるなんて。


 俺はまたあることに気付いて、ルナとミャアを見つめる。

 そっと気付かれないように2人のある部分に視線を注いだ。


 ……ははは、まさかな。



~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~


なるほど。あそこも成長するのか。

夢のシステムだな……。


面白い、やはり胸だろ、と思った方は、

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