第20話 じゅうじんを なかまにしますか?

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~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~


 屋敷を襲ったことによって、これで俺たちは完全にブラムゴンと敵対したことになる。

 遅くないうちに、ブラムゴンが村を襲撃しに来るだろう。

 ヤツは狡猾な魔族だ。

 多分1匹だけじゃない。

 徒党を組んで、襲いかかってくるはずである。


 だが、はっきり言って今の村に防衛力は皆無だ。

 それに魔蛙族の跳躍力は、魔族の中でも郡を抜いている。

 どんなに高い城壁を作っても、突破してくるだろう。

 だから、俺が考えた方針は……。


「迎え討つ!」


 俺が力説すると、聞いていた村人たちはどよめいた。


 ほとんどの村人が動揺している。

 魔蛙族の大軍を籠城せずに迎え討つのだ。

 そりゃ驚くよな。


 といっても、魔蛙族に籠城戦は無駄なのは皆もわかっている。

 問題なのは……。


「攻撃力じゃな」


 ソンチョーが指摘した。


 そうなんだよな。

 圧倒的に戦力が足りてない。

 攻撃系のスキルやジョブを持つのは、今のところルナ、チッタ、ソンチョー、カーチャぐらいだ。

 他の村人は後方支援や生活系のスキルやジョブしか持っていない。

 レベルを上げれば、基礎能力が高まるが、時間が圧倒的に足りていなかった。


 ルナの前では馬鹿にしたが、ブラムゴンのステータスはかなり高い。




 名前   : ブラムゴン

 レベル  : 6/6

    力 : 121

   魔力 : 55

   体力 : 200

  素早さ : 185

  耐久力 : 153


 ジョブ  : なし


 スキル  : 大跳躍LV5 毒吐きLV5




 なんと言っても、体力と耐久力の高さだろう。

 大岩の下敷きになっても、海を渡るほどの体力が残っていたのだ。

 ルナやチッタでも攻撃はほとんど通らない。

 村で一番の攻撃力を誇るソンチョーでやっとといったところだろう。


「加えて力も強いし、何より魔蛙族は素早い。ブラムゴン以外の魔蛙族の能力も似たりよったりのはずじゃろう。一斉に襲いかかられれば、一溜まりもないぞ」


 昔、剣士だっただけあって、ソンチョーの目は確かだ。

 ますます不利な状況を聞いて、村人たちの顔がいよいよ青くなる。


「迎え討つ場所は、魔の森にしようかと思ってる。ここなら魔蛙族の機動力も封じることができるはずだ。ドリアードも手伝ってくれると言ってくれているしな」

『あそこでならば、私の能力もお役に立てるでしょう』

「「「「おお……」」」」


 1つ安心できる材料ができて、村人たちは安堵する。

 だが、魔蛙族を討伐できる戦力については、何も解決していない。

 そこで俺はある解決策を提案した。


「獣人族に手伝ってもらう」


 再び村人たちはどよめいた。


「獣人族か」

「案としては悪くないが……」

「獣人たちとの交流がなくなって、もう50年以上経っている」

「果たして、我らに手を貸して貰えるか」


「もらえるさ」


 俺が断言すると、皆が沈みきった顔を上げた。

 そのまま俺は話を続ける。


「彼らだって、暗黒大陸の住人だよ。きっと話せばわかってくれるはずだ」


 この俺の一言が決定打となり、俺たちは獣人族たちの住み処へと向かうこととなった。



 ◆◇◆◇◆



「あれが獣人たちの住み処か……」


 魔の森とは反対方向。

 村の南に広がる山野に、俺たちの姿があった。

 俺は山肌にぽっかりと開いた洞穴を見つける。


 同行したルナとチッタも、岩から顔を出して様子を窺った。


「ここまで何事もなく進むことができましたね、ダイチ様」

「ああ……」


 獣人たちはとても警戒心が強いと聞いている。

 五感の能力が人族よりも優れているから、住み処に近づくものをすぐに見つけることができるそうだ。


「ステノのおかげだな」

「そ、そんな……」


 もう1人の同行者ステノは頬を染める。

 スキル『気配遮断』。

 こうして実地で体験するのは初めてだが、かなり便利な能力だ。

 ステノをうまく育成できれば、アサシンプレイもできるかも。

 背後からグサリって感じで。


 …………。


 ちょっと想像すると怖いけど……。


「むぅ……。ステノばかり褒めて」


 頬を膨らませたのは、ルナだった。

 その頭をそっと撫でてやる。


「ごめんごめん、ルナ。大丈夫、これから活躍してもらうから」

「はい。任せてください」

『キィ!』

「ああ。チッタにも活躍してもらうよ。でも、まだその姿でね」

『キィ!』


 俺はもう1度住み処の入口を覗き込む。

 歩哨が2人立っていた。

 頭に犬の耳を生やした男たちが、鋭い視線を光らせている。


「犬獣族ですね。耳と鼻がとても鋭いんです。力も強いですよ」


 ルナは教えてくれる。


 なるほど。

 獣人になっても、その能力は健在か。

 警察犬になるぐらいだからな。

 見張りにはもってこいってわけだ。


「よし、ステノ。『気配遮断』を切って」

「いいんですか? 見つかっちゃいますよ」

「ここまでで十分だよ。俺たちは話し合いに来たんだ。話し合い相手が見えないんじゃ、余計に警戒させるだけだろ」

「大丈夫、ステノ。何かあったら、わたしとチッタが守るから」

『キィ!』


 ルナとチッタの頼もしい声を聞いたステノは頷く。

 『気配遮断』を切った。

 その瞬間、歩哨の犬獣族が気付く。

 何者だといって、牙を剥きだした。


「待ってくれ! 俺たちは敵じゃない」


 俺たちは手を上げて、岩陰から現れる。


「人族?」

「なんでこんなところに?」


 犬獣族は動揺していた。

 本来なら外敵が現れたことを知らせるルーティンが組まれているだろう。

 それをしなかったのは、突然俺たちが目の前に現れたからだ。


「話し合いに来た。族長と合わせてくれ」


 俺が頼むと、入口の向こうで影が飛び出した。

 一直線に俺の方に向かってやってくる。

 気付いた時には、鋭い爪が俺に向かって振り下ろされようとしていた。


「ダイチ様!!」


 影の横から飛び出したのはルナだ。

 素早い動きに反応し、組み伏せる。

 その姿を見て、俺とルナは同時に驚いた。


「「女の子?」」


 ルナと同い年ぐらいだろうか。

 ピンと立った豹柄の耳と、黄金色の髪。

 ビキニのような面積の少ない衣服の下には、真っ白肌が輝いている。

 長い尻尾をピンと立て、橙色の目を憎々しげに侵入者である俺たちに向けられていた。


 姿形からして豹。豹の獣人だ。


「「ミャア様!!」」


 声を上げたのは、犬獣族の歩哨だ。


 ミャアって呼ばれているのか。

 名前があるってことは、獣人族の中の有力者なのかもしれない。


 一方、ミャアとルナは両手を組み、押し合いをしていた。

 下になったミャアは、大きな肉球がついた手でルナを押し返そうとする。

 ルナも負けていない。

 懸命に力を振るい、ミャアを押し返す。


「すごい……」

「あの娘、ミャア様に負けてないぞ」


 犬獣族たちは驚いている。

 俺も驚いていた。

 ルナのレベルは20を越えている。

 その力の強さは、一般人の10倍以上だ。

 なのに、決してミャアも負けていなかった。


 すごい。すごいぞ……。

 獣人族はおそらく力に特化した種族なのだろう。

 これで育成したら、どれぐらい強くなるのか。


 いや、それよりもミャアを育てることができれば、対魔蛙族の切り札になるはず。


「お前……。何者だ! ミャアと互角なんて」

「あなたこそ、何をするんですか。ダイチ様は話し合いに来たんですよ」

「ダイチ? まさかあいつが大魔王か?」


 俺を知っているのか。


「ルナ。離してあげて」

「でも……」

「大丈夫だから」


 そっとルナはミャアから離れる。


 ミャアはピョンと跳ねるように1度退いた。


「何しにきた、大魔王ダイチ?」

「俺の要求はただ1つだ」



 ミャア! 君がほしい…………!!


~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~


ド●ンかな……?


面白い、まさかの告白!? と思った方は、

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