【おまけ】その他の人々の日常

宮家の朝は早い。

午前4時半。モーニングコールが鳴る。


「主様、起床の連絡が入っておりますが」

「……止めておいてくれ」


仁一(キミカズ)、二度寝。

昨晩遅かったことを知っているヒノエは黙ってコールを切った。


間違っても、ダンタリオンのような理由で遅かったわけではない。仕事だった。

宮様だって、今は一般人だ。そうでなくても仕事はある。


午前6時、改めて起床。

最近、妙にごたごたしていたせいかだるい感覚を引き締めて一日を始めることにする。





午前9時半。


「ふわぁ~あ」

「なんという不摂生な……今頃起床なんて、だらけきってますわよ、ルースさん」


身支度もそこそこな感じでルース・クリーバーズ登場。

教会関係者とは思えないラフな姿にシスターバードックのすっかり、目覚めて久しい声がかかる。


「なんで姐(ねえ)さんもいるんだよ」

「あなたに姐さん呼ばわりされる覚えはありません」

「なんでアマゾネスがここにいるんだよ」

「いい加減になさいませ!」


ゴキッ!

本気で殴られる。


「いってぇな! 首がもげたらどうすんだ! オレのこの優秀な術にたけた脳に支障が……!」

「いっそのこと、その些末な脳みそを取り出して洗ってきた方がよいのではなくて? 目が覚めますわよ」

「そんな目の覚まし方してるやついるか!」

「でもしっかり目が覚めたみたいだね、ルース」


清明、待機済。

ほかの術者も集合済。

呆れたように二人を眺める。


「申し訳ございません。ルースさん、今回は悪魔狩り……この国風に言えば小鬼の類が出没しているらしいので、それを祓うためにわたくしも協力することになってます」

「マジで!? オレも仕事なの!? めんどくさ……」

「三食昼寝付きはもう不要でいいですか」

「できれば、ずがーんとかぼがーんとか一発で終わる感じの仕事ください」


知る人ぞ知る、陰陽師の会合だ。

術師の存在は表になって久しいが、彼らは裏から人には見えないものを鎮める役割を、なおも請け負い、支えている。


「彼はサルなので、チーム戦や細かいことは難しいのですわ」

「いちいちうっせぇなぁ。術が使えない方がここじゃサルだろ」


ビシッ。

シスターバードックの眼鏡にひびが入ったが、清明は打ち合わせに入ることにする。


会議は無駄な話が8割という。

が、そんな無駄は嫌いなので、仕事は素早く的確に。




午前10時。


陰陽師&教会合同部隊、鬼狩りに出撃。



午後0時ーつまり正午。


一木秀平、コンビニレジにて弁当を購入。

店員に「あたためますな?」と誤爆確認され、一瞬戸惑いながらも真顔で


「さようでござる」


と答える。



午後1時


時差で橘京悟、昼休み。

御岳隼人は、昼寝にて寝過ごすが、誰も起こしてくれない。



午後2時


森、突然の時間休暇取得。


理由→なんか全然、気が乗らない。


珍しくぼんやりしていると、どこからかぎつけたのか不知火が迎えにやってくる。

近くの公園でもふもふしながら、日向ぼっこに興じる。





午後3時


「おやつの時間だ……!」

「誰か……隊長につっこみを……司さんを連れてきてくれ!」

「無理です。もう部隊が違います」


特殊部隊 第二班では、時々こういうことが起こる。

第二班班長、御岳隼人を止められる人間は、この班にはいない。



同じく午後3時


「……もう3時か……誰か気分転換に角の和菓子屋で団子買ってきてくれ、全員分」

「隊長、おやつにしたいんですか」

「なんとなくみたらし団子が食べたくなってな……ダメか?」

「俺、行ってきます!」


特殊部隊 第三班。

隊長は自衛隊出身、南 増長(ますなが)。

唯一年の離れた年長者は、懐が広く、部下に慕われている。


なお、橘 京悟は副隊長だが、全く支障がないバランスの取れた班なので、大体毎日、こんな感じだ。

結束は手堅い。



さらに同じく午後三時。


特殊部隊 第一班。


「あ、すごいいい香り。司さん、今日のマイボトル2本目は柑橘系ですか……」

「朝はコーヒーだったはずだ。森に、すり替えられた」


基本、おやつも飲み物も各自持参の自給自足。

マイペースに迷惑かけなければ、いつだれがおやつの時間にしてもよし。


但し、カップラーメンとか食べると怒られる。 ←当たり前




午後4時


大体、どこの部署も会議や出張終わる時間。

仕事の早い人は終業に向けて、徐々にペースを落とし始める。


「忙しい」が口癖の人間は、この辺りから働き始める不思議。


「監察に、終業時間は関係ないのだ!」


宮古進、今日もランチパックを片手に捜査対象を見張っている。



午後5時~6時


終業。

節電の文字がむなしく、暗くなってきたビルに灯りがともりまくる時間。


各自解散、もしくは仕事続行。


「シャンティスさん、今日ギルド戦ですか」

「ちょっと待って。時間外にスマホいじるたびにゲームやってるとか思うのやめて」


浅井副長、時々真顔の同僚にいじられる。

今日は準夜勤組にて、このまま待機。


スマホがいじれるくらいは、その日は平和だ。



午後7時


夜行性の神魔のヒトたちが活発になってくる。



午後8時


どこかへでかけていたアスタロト氏、帰邸。

割と夜はおとなしくするタイプらしい。


「これからでかけるのかい?」

「大使になると昼間は遊んでられねーの。たまには夜遊びして鬱憤晴らすの」


いつも何の仕事をしているのか分からないダンタリオン氏、入れ違いで外出。

アスタロトは、主不在の邸宅で、ダンタリオンの執事の入れてくれたお茶を飲みながら、夜の時間をゆっくりと過ごしている。




午後10時


明日に向けて、休むべく。


ストレッチなどしてリラックスタイムに入っている人

雑誌を眺めて欠伸をする人

まだ飲んでいる人

なぜかここからゲームを始める人


それぞれ様々な過ごし方で夜を送る。




今日も明日のために、おやすみなさい。





…………働いている人は、お疲れ様です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る