僕らだけの春をください

苫田 そう

僕らだけの春をください

人は何を目的に生きているのだろうか。

 

 その答えを俺は知らない。


 駅で流れていく人々の顔や、立ち振る舞い、全て同じものに見える。


 あの人たちは人生に目的を見い出せているのだろうか?


 そんなことばかりを考えながら登下校を繰り返している。


 毎日学校へ行き、友達とくだらない事をしたり、勉強したりしている。


 別に不満はない。


 だけど、そんな日常に少しづつ疑問を抱き始めたのが、ココ最近のこと。


 「なんのために勉強をするの?」と問いただしてみても、将来のためと一点張りの大人たち。


 将来のためとは?


 将来何をするの?


 俺は俺自身が分からなくなっている。


 おそらく、世間一般ではこの感情を思春期という言葉でまとめ上げられるのだろう。


 まあ、否定はできない。


 大人になってからも、こんなことばかり考えていたら、多分どこかで脳がショートする。


 でも、大人になったら消えてしまう感情なら、今だけでもそれをしっかり見つめてあげないとな。


 俺は今何を求めているのだろう。


 高校生二年生の春。


 今だからできること。


 俺だからできること。


 他人に出来ないこと。


 今、何かひとつ貰えるならば、


 僕らだけの春をください


 

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