造りかけの故郷

myz

“EM-2e5752-《メリダ=ティミス》が記す”

 親愛なるへ――


 私は現在いま、簡易的に敷設ふせつした保護シェルターの中に、丁度良い高さのテーブルと、柔らかく腹の落ち着くソファを用意して、この記録をしたためている。

 この惑星――《えんだるま》星系の第5惑星《チキュー》の環境は比較的穏やかで、スーツの環境保護システムでも十分に着用者――つまり私――の安全を保障できる程度だが、こうした作業をするにはやはり、ゆったりとくつろげる――そしてできれば、明るくて清潔な――場所が必要だ。

 さて、私が旅を始めてから、2e5752日(註:《エンティミシア》標準。以下略記する)が経った。

 もう40b日、他の探究者エクスプロラとは交信していない。

 私が現在いま探索しているのは共同体コミュニティでは《るかじ・9e》と名付けられている銀河で、《チキュー》が位置するのはその中心から大体48d-uといったところだ。

 《るかじ・9e》はごく標準的オーソドクス渦状銀河ネーブラで、もう一度の超光速航行ハイパー・ドライヴで私はその中心に到達できることだろう。

 そしてそこを突っ切り、今度は反対側の端へ。

 《るかじ・9e》を離れ、私の旅はまた次の銀河へと続いていく……。


 ――そう、思っていた。

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