第26話 湖と妖精と一角獣と②


 静かな夜、月明かりの下にそれは突然現れた。その一角の角が付いた白い馬は幻想的な美しさを持っていた。長い尾とたてがみを風になびかせながら泉の中へと入って行く………


 オレは周囲に目を配るがみんなすでにグッスリと眠りについているのでオレ1人でゆっくりゆっくりと音を立てず近づいていくと一角獣ユニコーンはオレの方へと振り向いてバシャバシャと音を立てながら少しずつ近づいて来た。


 オレは一角獣ユニコーンたてがみを優しく撫でると頸が伸びて頭が上がり、鼻を伸ばして目を細めた。

 突然、どこからともなく矢が飛んで来てオレの右膝にグサッと刺さった。


「ぐぁああああ!」


 オレはあまりにもの痛さに倒れ込んだ。


「なんだよ、外したのかよゲルバ」


「チッ、野郎に当たりやがったぜ。頭を射抜くチャンスだったのによ」


「オイ、ピータもしかしたらコイツも角を狙っていたんじゃねえのか?」


「ふざけんなオラ!!」


 オレは膝の痛みで立ち上がることが出来ず、倒れた状態で盗賊どもに何発か蹴りを浴びせられた。


「キュイイィィィン」


 一角獣ユニコーンは高い音でいななき走り去っていったので盗賊達も慌てて追いかけて行った。


「オイ、マサ君大丈夫か」


 クリフさんがオレの前へと走って来た。

 ああ、そうかフレリーヌがみんなを起こしてくれたのかな?

 アレ?……なんか妙にカラダがふわふわな感じがする。ダメだ、だんだん眩暈がして来た。

 オレは肩の痛みのせいかそのまま意識を失った。





 ◇



 まだ少しボンヤリするがようやく目が覚めた。

 どうやらオレはヨッシーが用意したテントの中で眠っていたようだ。


「あっ、気がついたニャ」


「ようマサ坊、調子はどないや」


 どうやら矢には麻痺薬が塗られていたらしく

ニーヤの治療魔法、ヨッシーの持っていた回復薬ポーションによってなんとか元の体力に戻る事ができた。


「マサ君はあそこで一体何があったのだ?」


「突然、アンタの叫び声が聞こえたので急いでここのみんなを起こしたんだわさ」


 オレのまわりをクルクルと飛び回るフレリーヌはまるでデカいコバエのようで正直ウザい!

 オレは泉で一角獣ユニコーンと出会い、突然現れた盗賊ども2人に襲われた事をみんなに話した。


「うむ、ウワサでは聞いた事があったがやっぱり一角獣ユニコーンの角を狙っている連中がいたんだな」


「なるほどね、アタシらがここんところ一角獣ユニコーンを見かけなくなったのはそいつらの仕業なのか」


「ほんならこれからどないするんや? そいつらを一網打尽にするんか」


「イヤ、そこはオレに考えがあるんだ」


「ほほう作戦ですかニャ?」


一角獣ユニコーンを保護するチームと盗賊と戦うチームに分けようと思うんだ。

 まずは一角獣ユニコーンの居場所を突き止める事、そして盗賊どもを待ち伏せて迎撃するといったかんじだね」


「いいね!それだったらアタシも頑張っちゃうよ」


 一角獣ユニコーンを保護するチームがオレとヨッシー、そしてフレリーヌの3人……

 盗賊どもと戦うチームがクリフさん、ニーヤとブラックという感じで編成が決まった。





 

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