第9-04話 逆探

2035/10/01 17:35 道祖神の朽ちた祠の北側 美空、他


━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


「御法童子とな? それはいかようなものか」と隠仁オニつぶやいたのです。


「御法童子は対象者を守る、隠仁よ。但し、対象者はある程度能力が無いとだめなの。全くの素人や一般人には付けられないわ」と温羅うら隊員が隠仁に説明をおっしゃいました。


「だがどうする? 御法童子は私はすでに持っている。高木隊員や斯波しば班長では力不足だ、みこと隊員でも力が違うから御法の必要がない。で自身に付かすのは無理なのだろう? 一番近いのは神無月隊員だが、麒麟きりんに確認を取る必要があるくらいか?」と風祭隊員がおっしゃいました。


 私は巫女装束の裾を揃えて隠仁のほうへ向くと「少し待ってくださいね、麒麟様に聞きますから」というと、ふところから御神刀を出し念じました。


『麒麟様、私は御法童子を得ても良いのでしょうか?』と念じ聞きます。


 麒麟様から答えが返りました『構わぬ、御法もいるとなればさらに心強い』という答えがあったのでした。


 懐に御神刀を戻し隠仁のほうへむきました。


「麒麟様の許可は取れました、私で大丈夫ですよ」といいます。



2035/10/01 17:40 道祖神の朽ちた祠の北側 美空、他


「分かったわ、施術をするから隣に並んで」と温羅隊員がおっしゃいます。


 そうおっしゃるので隠仁の隣に並びに行きました。


 温羅隊員はかなり長くマントラを唱えると、「御法童子」としめました。


 すると、隠仁の姿が消えました。


 次の瞬間この空間を維持していたものが、御法童子に変わったため空間がらいだのです。


「退避するぞ! 急げっ」と斯波班長がいって全員が駆け出しました。


 誰一人欠けることなく、問題は特になく脱出できたのでした。



2035/10/01 17:46 熊内三丁目二番道祖神の朽ちた祠前 美空・他全員


「皆居るな!」と斯波班長がおっしゃいました。


「皆を確認したぜ、誰一人欠けちゃいねえ」と長良ながら副班長がおっしゃいました。


「よし、撤収するぞ!」と班長がおっしゃってこの場を後にするのでした。



2035/10/01 18:10 検非違使けびいし神戸分署第八課七班班室 全員


「各自報告書を上げてくれ」と班長がおっしゃいました。


 そして皆で黙々と報告書を書くのでした。



2035/10/01 19:00 検非違使神戸分署第八課七班班室 美空・他全員


 報告書を書き終えて待機時間を過ごしているところに、電話が鳴りました。


 今度はワンコール終わる前に、班長が出ました。


「検非違使神戸分署第八課七班。はい、そうですが貴方は? は?」とおっしゃったときでした。


 他の四人が電話の受話器を取って、聞きに入りました。


 そして班長が続けます。


「今あなたは無事なんですね? で場所はどこですか? おうち、住所は分かりますか? 分からない?」とおっしゃったときでした。


 副長が「逆探要請を出そう!」と小声でおっしゃり、素早く内線で無線室にかけられました。


 副長が小声で「今七班班室にかかってきている電話を逆探してくれ」と静かな要請をおっしゃいました。


 少し経って、無線要員がやって来て副長にA五用紙程度の大きさの紙を渡しました。


 まだ班長と電話の主との間で、電話は続いていますが要領を得ないようでした。


 その間に班長以外のみんなが、副長の周りに集まり先の紙を副長が開示しました。


 住所は、山手通りの高級住宅街を示していました。


「相手は年端としはもいかない少女のようだったが」と風祭隊員がおっしゃいました。


「たどたどしいしゃべり方でしたが、明らかに恐怖に引きつって我をなくしているようでしたね。早く助けてあげられればいいんですが」と佐須賀隊員がおっしゃいました。


 風祭隊員が班長に住所を見せました。


「お家に行くからいい子にして待っててね」とおっしゃり、電話を切られたのです。



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