第7-14話 休暇②移動~旅館着

2035/09/11 08:55 垂水たるみ駅のバスターミナル


━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


 元々余裕を取ってあるだけあって、みんなが集まっているところへ丁度行くことができました。


「おはよう、忘れ物はない?」と声をかけると「大丈夫!」と元気な声で綾那あやなあかねさんがおっしゃいました。


美空みそらちゃん香織かおりちゃん、おはようございます」と牧村まきむら加奈子かなこちゃんが挨拶しました。


 そして「紅葉もみじさん、おはようございます」と春川はるかわ彩名あやなさんもあいさつしました。

 彼女が今回のキーパーソンです。


 新川あらかわ静香しずかさんも少し遅れましたが許容範囲内でした。「遅れちゃったごめんね、みんなおはよう」とおっしゃいました。


 茜さんは今日はグレーのタータンチェックのスカートに無地のジャケットを着こんでいました。


 加奈子ちゃんはいつかと同様、黒髪に白いカチューシャリボンでまとめてベージュ系の服装で綺麗にまとめてありました。


 静香ちゃんも、いつぞやの白のブラウスに緑系のギンガムチェックのスカートでまとめていました。


 彩名ちゃんは灰色ベースの長袖の少しあったかそうなものに黒単色のではありますが長めのキュロットでした。



2035/09/11 08:58 垂水駅のバスターミナルのマイクロバス車内


飯山いいやま仙蔵せんぞうと申します。こたびはわが旅館にお泊り頂きまことにありがたく存じます」と丁寧な挨拶をされました。


「急な御願いで誠に恐縮ですが、ご協力のほうよろしくお願い致します」と私がいいだしっぺでもあるので返礼を述べることにしました。


「お嬢様のお頼みとあればこの仙蔵、火の中水の中でございます」と改まられてしまったのでした。


「仙蔵そこまでに」と春川さんがおっしゃったのでそこまでで仙蔵さんが引き下がりことなきを得ました。


 まだ精進が足らないようです。


 そしてマイクロバスは一路旅館に向けて走り出したのでした。


「それでシャロウダイビングのライセンスはだれも持ってないのですね」と春川さんがおしゃってスノーケリングに変更になりました。


 そして地元の方推薦の翡翠の洞窟も行けるように手配も済んでいるという事でした。そこまでは考えてなかったのでうれしい誤算ともいえました。



2035/09/11 09:55 移動中のマイクロバス車内


 マイクロバスの中では、いろいろトランプやオセロ等で楽しんだりしていましたが皆疲れるのを嫌って早めに切り上げて静か寝ておくことにしました。


 いざ着いたけど力が抜けてるでは話にならないからです。


 しかし寝てないものも寝ずに寝たふりをしている者も三人いたわけですが、特に車内では何も起きませんでした。


 追走する車も見当たりませんでした。


 とかくこう言う事になると狙われるという話が出やすいのが私か加奈子ちゃんであるからでした。


 加奈子ちゃんは特に巻き込まれやすい体質ともいうべきものを持っています。


 昔からそうなのです。


 何か憑いているわけでもないのに巻き込まれやすいのです。


 私は親のことが相手方に知られていると狙われる確率がダントツに跳ね上がります。


 そのことを今知っているのは検非違使けびいし温羅うらさんだけです。


 以前身辺警護をする際に教えられた内容でもあるのでした。


 機密中の機密でもあるのでした。


 ただ絶対に内緒というわけではありませんが高木たかぎさんには話されていないのです。


 現在隔離中の班長と副長は、以前身辺警護を行った時からいましたからご存じのはずです。



2035/09/11 10:45 停車したマイクロバス


「みなさん付きましたよ」と春川さんの声がしました。


 高級そうな純和風旅館がそこには広がっていました。


「これの一邸、貸し切りでいいの?」と温羅さんがつぶやきました。


 それほど凄く、小さな湾を取囲むように純和風建築が並んでいるのです。


 頂上から見るそれはとても壮観に思えました。


 この内の一邸宅を借りられるというのですからさらに驚きです。



2035/09/11 10:50 移動後のマイクロバスから降車 香織


━━━━━《香織かおり視点》━━━━━


「今日から三日間のお宿はこちらになります。」と比較的頂上から高い位置にある“松の間”と書いてある一邸宅を借りることになるようです。


 みんなで荷物をもって和風邸宅に入ることにしました。


 まさに邸宅でした。


 一泊いくらかしらと、一瞬で計算に入りそうになるところを留めるので精一杯です。



2035/09/11 11:00 松の間内中央の座敷部屋 香織


 中には寝室だけでなく、食卓だけでなく囲炉裏まで付いていました。


 まさに邸宅です。


「二人一部屋で泊まるようになっているからね」と春川さんがおっしゃいます。


「部屋割りどうしようか? 香織ちゃんと美空ちゃんは一緒の部屋ね」とポコポコ決まっていきます。


「あたしは寝相が悪いから一人部屋の方がありがたいかな?」とおっしゃると「紅葉ちゃんは一人部屋と」とどんどん割り振られていきます。


「加奈子ちゃんは茜ちゃんと一緒と」とくじ引きも始まっています。


「私は静香さんと一緒かよろしくね」と春川さんがおっしゃいました。



2035/09/11 11:10 松の間内各寝室の座敷、八畳間 香織


「流石に本間、広いですね同じ八畳といってもこれだけ格差があるとは」と思わず呟きがれてしまいます。


「漏れてますよ香織さん」と美空さんに言われて思わず「しまったいつもの癖が……」というのでした。


「寮というか、今住んでいる部屋は江戸間なのでつい測りたくなるのですよ」というのも忘れませんでした事実ですから。


「本間に慣れてしまっているので、あまり実感がわかないのですがそんなに狭いのですか?」と美空さんにいわれました。


 少し思い出しました美空さんの部屋というか美空さんのお家、御殿というか邸宅自体も本間造りではあったのです。



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