第五章 風雲急を告げる

第5-01話 八課棟爆破テロ

2035/08/15 13:00

 昼食過ぎのことでした。

 その日は朝からあわただしく遺跡からの発掘物が多く届けられており、二階と三階の廊下は物で、あふれかえっていたのでした。午前中には配線工事の業者さんも入って、大忙しだったのです。配線工事は午前中に終わり、物も午後過ぎには終わったのでした。ただ片付けられず、二階と三階の廊下に溜まっていたのでした。

 そして事が、起こったのです。


“カッ!!!”と目も眩むような閃光が走りました。

“ズドーーン!!! ズズズ!!”と大きな音がしたかと思うと私の体は宙に投げ出されていました。(三班、瀬野川せのがわアリスの日記帳より抜粋)


 瞬間に大爆発が起き二階と三階のフロアが丸々吹き飛ばされたのです。

 重軽傷者合わせて三十五人にものぼる被害が、一瞬で出たのでした。

 二班から六班までのほぼすべての人員と課長が重軽傷を負い、二階と三階にあった遺跡からの発掘物全てが損壊・損傷したのでした。


 この爆発の衝撃に合わせて四階下部フロアにも穴が一部空き、協力捜査チームのメンバーにも軽傷者三名が出たのでした。各階層構造は比較的しっかりとしていたため、二階と三階以外には、大した被害は無かったのですが、重傷者が十五名出てしまい、課長もその重傷者の中に含まれたのでした。


 しかも運の悪いことに副課長は市民病院に絡む回診で不在、係長も出張で外出されていたのです。七班とその協力者部隊はそれぞれが現場や用事で外しており無事でした、一班は偶々長期案件の依頼が出ており、全員外していたのでした。運の悪いことに、それ以外の班員は皆職場に居たのでした。残務整理やら、書類整理の最中でした。奇跡的に三班の荘野しょうの一馬かずま大鷹おおたか和樹かずきは休みを取っており被害者には含まれませんでした。


2035/08/15 14:00

 その報が入るや否や現場検証に立ち会ったのは、風祭かざまつり係長だけでした。流石に警察や消防だけに、見せられないものも数多くありましたし、適切な判断で現場に一番乗りして、見なくていいものは見ない、を現場に徹底させたのでした。偶々、公安時代の噂も手伝って、それは現場に行き届いたのでした。それだけ信奉者が居たということではありますが。そこはそれ、裁量権を利用し、上手く隠したりしたわけでした。


 警察の現場検証によると、使われた爆発物はC4コンパウンド約二トン、消防の検証によると現場にそれぞれ仕掛けられた痕跡こんせきがありありと残っており工事業者が設置したのではないかと言う証拠が残されておりました。


2035/08/15 14:30

 事件当日は一報を県警から受けた回診中で神無月かんなづき家に訪れていた副課長と神無月美空みそら嬢が状況確認のため一度現場に行きましたが、報道陣に囲まれるのを恐れた副課長が、状況確認を車内から行って退避したのでした。


2035/08/15 15:00

 そして、その足で副課長はポートアイランド第二工区区画の資材置き場まで行き、現場を警備していた部隊に、そのままここを今日から使用する旨を伝え、荷物を運び入れる許可や、強化プレハブの設置許可等を盛り込んだ計画書を、提出し即地実行可能なプラン全てを切り出したのでした。

 爆発物を扱えるような銃器の擬装庫は無事であったためそのまま、ポートアイランド第二区画の私設保管所に一旦置かれ、厳重警備を行うことになりました。

 当然、地下格納庫や、地下射撃場辺りからも、持ち出された資材類を徹底管理すべく別棟の管理区画にいた警備部門が全力を挙げて警備を行うこととなり、大規模な管理と、昼夜交代勤務が行われ、ポートアイランド第二工区画の私設保管所に一旦置かれ、厳重警備を行うことになるのでした。


2035/08/15 16:20

 元々、この第二工区には、副課長が第二の基盤となる、新部署用の土地と資材を確保していたため。それを現在の部署用に、新たに以前より大型となるの地上六階、地下五階の建屋を計画していたため、そのプランを基に改造が行われ、大型ヘリ三機と駐機整備場を含むすべての建屋を建設することになりました。


2035/08/15 16:35

 その間プレハブが使われることになったのですがただのプレハブと言うわけにはいかず、強固なプレハブが作られることになり、地上三階建ての強靭なプレハブとなることが決まったのでした。

 新建屋ができるまでの間、八課の事務所として機能することになるのです。


2035/08/15 17:00

 荷物を運び込んだのは『親方日の丸運送』工事を請け負ったのは『節度艤装』が請け負っており。即時調査されたのですが、運送会社ではその時間動いていた車は居ないとの一点張りで一歩も譲らず、運送会社には捜査の手が入ったのですがそのような記録は本当になく、工事会社は完全なペーパーカンパニーでもぬけの殻だったのです。しかしながら、二トンものC4の出所や発掘物と思われる、擬装品などがどこから調達されたのかすらも、分からない事件となったのでした。

 当然、兵庫県警は広域手配などを行いましたが、犯人らの乗った車は発見されず、全てが闇の中に消え去ったのでした。


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