第2-05話 捜査とバトル

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


「班分け表はこいつか、我が七班は四隊に別れ各場所をできれば順に捜索する。戦闘の恐れが十分にある為各員注意せよ。まず、副長長良ながらさん、温羅うらさん、高木たかぎさんでチームを組んでくれ、Aポイントの捜索を頼む。折神おりがみさんと風祭かざまつりさんはコンビを組んで、Bポイントの捜索を頼んだ。私とラウさんで、Cポイントの捜索を行う。佐須雅さすがさん、神無月かんなづきさん、周防すおうさんでチームを組んで、Dポイントの捜索を頼んだ。くれぐれも慎重にことを運んでくれ」と斯波しば班長がおっしゃいました。


「B、C、Dが比較的近いな何があるか分からんから連係プレイでもされたら厄介そうだな」と班長が続けておっしゃいました。



「よし検非違使けびいしのバンはC担当の私と、D担当の佐須雅さんで使用する。他の者は自車を使用してくれ、保険に今更入っていないと言うものはいないな。では作戦を開始する。各員時計合わせ! 五、四、三、二、一、ゼロ!!」と班長がおっしゃったのでした。


 それを前提に各自で時計を合わせ、作戦に挑んだのです。


 私は、Dポイントの担当でした。


 佐須雅さんの運転する検非違使のバンに、周防さんと一緒に乗り込み。


 一路、Dポイントに向かうのでした。


 無線は各隊共に急ごしらえでしたが、積んであったので各員の状況はある程度分かるようになっていました。


「こちらAポイント到着した、きなくせえな。大勢いるみたいだ慎重を持って行動したいと思う」と副長の長良さんの声が、無線を通じて飛んできました。


「ちょまてお前ら、うわあぁぁぁぁぁぁぁ!」と急にあわただしくなりました。


「こちら長良、Aポイントは『強盗団、洗いざらい』のアジトだ。各位、注意警戒を怠らない様に相手は大量に武装して待ち構えている。“チュン”っと、あぶね」とおっしゃられたのを最後に通信が、“ブツッ”という嫌な音を立てて途切れたのでした。



「こちらBポイント現場に到着した、これより捜査を行う」と通信機より風祭隊員がおっしゃいました。


「こちらも多数の気配が有る、慎重に行きたいところだがそうは問屋が卸さないようだな、折神はここで固定、車に近づけさせるな。私が突入してくる」とおっしゃると、重装備のヒトが飛び出していったような音が、したのでした。


「どうやらこっちは『強盗団、サスカッチ』のアジトらしいな、……お前ら武装をすべて解除して出てこい、そうすれば命の保証はしよう!」、「そんな戯言たわごと信用できるか、皆やっちまえ!!……」という声が聞こえた後、激しい銃撃戦になったようでした。



「こちらDポイントに到着、捜査を開始する」と佐須雅さんがおっしゃいました。


 私たち二人も車から出ました。


 周囲は静かに静まり返っていました。


 ヒトどころか、猫の子一匹居ない様な、異様な光景でした。


 佐須雅さんを先頭に置いてのスリーマンセルで動き、建屋の中に侵入していきます。


「こ……こいつはひでえや、こちらDポイント生存者無し。まるで大型の獣にでも襲われた様な傷跡があちらこちらに残っているが、生存者を発見できず。Dポイントは獣どころか子猫一匹すらいない状況。繰り返すDポイントはデスエリアだ。後で捜査専従班を回してくれ」確かに無残な状態でした。


 けがれが周囲に沢山たくさんあるせいで。


 私と周防さんは行動半径が普段の半分以下に落ちてしまっていました。



「こちらCポイントに到着、これより捜査を開始する。ラウさんは裏へ回ってくれ。表を見張る、人は少ないが居る模様、煌々こうこう護摩壇ごまだんらしきものが設置されていて、豪勢ごうせいされているのを発見した。ラウさん、裏はまだ制圧できないのか、ここが本命だぞ」と斯波班長の声が無線に載ります。


 そのころラウはガキども五人以上と素手ゴロの喧嘩を行って居ました。明らかに未成年と分かったので、青龍刀とM11を使えなかったのでした。


「チッ、早まってくれるなよ、まだ片が付いちゃいねえんだ。十人はいるのか……」とラウさんのあせりを含んだ声が通信機から聞こえてきたのでした。


「また呪物を盛大にくべてやがる、何を呼び出そうっていうのかわからんがこれ以上まてん。背後から強襲きょうしゅうすればあるいは……」という斯波班長のささやき声が聞こえてきていました。


「こちらDポイント、これよりCポイントの応援に回る。班長! 無茶しないでくださいよ」と佐須雅さんがおっしゃいました。


 私と周防さんも急ぎバンに乗り込みます。搭乗OKサインを、佐須雅さんに送りました。


 佐須雅さんが急ぎバンを、Cポイントに向けて走らせました。近いと言ってもそこそこの間隔は離れています。


 嫌な予感が犇々ひしひしと迫ってきているような圧迫感を覚えました。


 サイレンが鳴らせないので速度は法定速度よりも少し早いかなといった感覚でした。



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