第2-06話 ホールドアップと終幕

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


「こちら斯波しば突入行動に移る。術者以外には人の姿は見えん多分大丈夫のはずだ」というささやき声が通信機かられ聞こえてきていました。


 扉をバンと大きく空けた音がしました。


「ホールドアップ、全ての行為を中止しこちらの指示に従え」“カシャッ”と銃でポイントを付けた音も通信機が拾った時でした。


「グワッ、こいつら、チッ術者は無視か、こいつらっ。クッツ、クソッ大型の蝙蝠こうもりか何かか、牙と爪がやばすぎる。それともキメラ合成獣なのか、ハァハッツハッツ」と荒い息が通信機から流れ出てきます。


……


「クソッ、ここまでか」というかなり、か細い声がしました。


「班長!! 気をしっかり持っていてくださいもうすぐ着きます!!」と私が通信機に向かって大声で叫びました。


 佐須雅さすがさんが「Cポイント到着! これから援護えんごに回る」と言って開け放たれた扉の前にバンを勢いよく停車させると。


 救急救護キット一式とAED(自動体外式除細動器じどうたいがいしきじょさいどうき)を持って走っていきました。


 我々二人も、その後を追います。


 グロックのセーフティーは、外し終わっていました。


 何時でも撃てます。


 扉から飛び込んですぐのところに、斯波班長が血まみれで倒れて居られたのです。佐須雅さんがAEDを始動させ、班長に緊急措置をしていきます。


 その時でした視界に一匹の大型の何かが映りました。迷わず佐須雅さんを、狙っていたようでしたので、近寄らせる前にグロックを迷わずぶっぱなします。


 三射分拳銃の発射音が響きました。


 そいつは飛び散り羽をバタバタさせてまだ藻掻もがいています。


 それに対し近場から二発さらに撃ち込みました。


 流石にそれでとどめは刺せたようでした。


 不意に背後に気配が現れたので、飛び込み前転しながら、蝙蝠の死骸を飛び越え、前方向に回避しました。


 その直後、その背後から前方へ通り過ぎた固まり三匹がそれぞれ火炎かえんという神術で燃えたのが解かりました。周防すおうさんの術でした。


「蝙蝠は全て落ちた、お前を守る者はもういない! ホールドアップ!! 大人しく全ての行為を中止せよ!!!」と私が聞こえないはずが無いくらいの大声でメッセージを術者に向けて放ちました。


 当然グロックでも狙っています。


 術者はもうトランス状態に入っており、停止命令程度では止まらない。そんな状態だったらしく、こちらの警告が無視されたため、警告射撃を術者近傍きんぼうにある護摩壇ごまだんの一部を破壊する目的で実施します。


 実際に護摩壇の一部は確実に損壊そんかいしました。


 しかしまだ止まらず、警告を度々たびたび、無視するため。強硬措置しかないかと思い、術者の右肩辺りを撃ち抜こうと考えた時でした。


 私の後方から、神術が発生しました。


 術式はやはり火炎でした。


 その一撃で術者が、黒焦げに燃え尽き人の形をしていたものが昏倒しました。


 思わず私が後ろを振り向くと、無表情で一撃術を撃った後の周防さんが居たのでした。


 確かに神気が、少し感じられました。


「ああしないと、止まらないじゃろう」とおっしゃったのです。


 確かに私のやり方では止まらなかったかもしれません。


 今はその黒焦げの塊に触らない様に護摩壇の横に向かうと、裏からちょうどラウさんが出て来たところでした。


 私は護摩壇の炎を消しにかかりました、周囲にある防火用水を使い消しにかかりますが、なかなか消えませんでした。


 ラウさんが消火器を使って一気に消込けしこみを手伝ってくださいました。


 それのおかげで、ようやく炎は消えたのですがおびただしい呪物の山がありました。


 さすがに回収班に連絡をします。「こちら七班、Cポイントにて首謀者一命を焼却、呪物が大量にある回収班、回収願います。それと捜査専従班はこちらにも来て捜査を行ってください。はいそうです。まだ班長は目を覚まされておりませんので救急車の手配もお願いします」といってからラウさんのほうに振り向くと「お疲れ様でした。班長の乗ってきたバンの移送をお願いします」ということにしたのです。


「まさか、班長が一人で飛び込まれるとは思いませんでした。あせりは人をくるわせてしまうものなんですね」と私がつぶやきました。


 そして八課まで帰ると、今度は書類の山が待っていました。ともうしましても、私の机上のものはわずか一枚で、何発発砲し消費したかの記入用紙だけでした。


 一番山になっていたのは、周防さんの机の上でしたほとんど束になって積まれていたのでした。


 今回は犯人こと主犯格を、燃やしてしまったため。


 記録どころか調書が取れないというぞという苦情書類の山から、始末書の書類などでした、懇切丁寧こんせつていねいに書き方などがえられておりそれが山になっていたのでした。


 風祭かざまつり隊員の机上や、みんなの机上にも少しずつ乗っていました。

 でも微々びびたる数だと思われました。



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