第0-35話 身辺警護延長:テロ予告

━━━━━《長良ながら視点》━━━━━


「話し合いですからね。乱戦は得意ですけれども、そういうのは無しですよ」と折神おりがみさんがいいます。


「まあ、落ち着いて行きましょう」と俺もいいました。


 ビルをのぼることしばし、最初の関門かんもんがやってきました。


 屋上に上がる階段の前に、一個組程度の人数四名が屋上に上がるコースを固めているのです。


 屋上に上がるコースは三か所ありましたが、そのどれをも封鎖しているのでした。


「どうやらアレを通して貰わないと、屋上にいると思われる小隊長クラスには会えそうにないな」と俺がいいます。


「正攻法で行こう」と斯波しば班長がいいます。


「正面から行くしかないですね」と折神さんもいいました。



 現在時間は一六時二五分でした、迎えに行くまでの時間にはまだ余裕がありました。


 斯波班長が、その固めている中でも一番階級が高そうな者の居る所に歩いて行きます、俺と折神さんも同様に後ろについて行きます。


 もう五メートルと言うところで、「とまれ、何者だ!」と警戒されてしまいます。


「ご苦労、検非違使の神戸分署第八課の者だ! 上長に会わせてもらいたい」と斯波班長が敬礼をしながら話しかけました。


 もともと荒事を想定していたような陸自側のメンバーは、顔をいったん見合わせると無線で通信をし始めたのでした。


 数十秒後、「お通りください」といって屋上へ道をあけたのでした。


 屋上へ上ると、そこそこの規模で陣地が構成されており、その陣の中に通されたのでした。


 えらくってるなと俺は思いましたが、表情には微塵みじんも出さずに班長に追随ついずいして陣の中に二人とも入りました。


 特に我々も止められることは無く、陣地の中に入れたのでした。ひと悶着あるかもしれない、とは思っていたのですがそこは想定外で助かりました。


「私がここの陣頭指揮をしている、江田えだ中尉です」とまだ若い成年士官が答えたのでした。


「私は、検非違使神戸分署八課七班合同捜査本部の斯波だ。なぜ貴官きかんらがウチの新人を、こんな遠くから監視しているのか? 状況を聞きたい」といったのでした。


 すると「身内のごたごたで、申し訳ないのですが。“対象の近くに異能を求めた自衛官が出没する”というタレコミを受けたからであります」といったのでした。


「そのタレコミはいつの時点のものだ? 状況によってはすでに我々に打破されて状況が変わっているかもしれないぞ?」といったのです。


「そのタレコミを受けたのは昨日の深夜です。私が話せる内容はここまでです。それ以上は聞いておりませんので」と、中尉が答えたのでした。


「どう思う? 長良さん」と斯波班長に聞かれたので「最新情報ではないでしょうか? 昨日の深夜に、なんとタレコミを受けたのかが気になるところですが。それ次第でこちらの対応も変わりますね、緊急コールを入れなくてはいけないかもしれない」と俺が答えました。



貴官きかんの上長に連絡を取ってもらえないか? ことと次第によっては、直ぐに市民を避難させなければいけないかもしれない。情報の開示をお願いしたい、貴方も無辜むこの民に被害を出すのは、得策とくさくとはいえまい。そうなると我々は貴官らを逮捕しなければならん!」と強めに斯波班長がいったのでした。


 流石さすがに少しあわてた様子で「分かりました直ぐに」というと通信士に即刻そっこくホットラインを開くように命じ通信機の前に中尉が立ったのでした。


 少し経って、タレコミの内容をプリンタから打ち出し。それをこちらに見える様に持ってきてくれました。


 それは新聞を切り抜いたような、絵にかいたような怪文書で『明日午後ヒトハチマルマル時にハーバーランド・ショッピングモールでお前らのいっているイリーガルな奴らが暴れだすぞ』と書いてあるものだったのでした。


「これはだめな奴だ、マジだとしたら相当ヤバイんではないですか?」と俺がいいました。


「直ぐにショッピングモールから人を避難させろ、時間がない! 避難させ終わった後での、非難は後で聞く!!」と斯波班長が叫び、課長へのホットラインをタブレットでその怪文書を撮り一緒に送ったのでした。


 すると即刻課長から電話の返信があったのでした。


「斯波、長良、折神さんはその暴れだす奴を止めに入ってくれ、避難させるほうは捜査専従班を分署から出した方が人数が多いうえに、今なら人員がそこそこいるはずだ。現場指揮を斯波班長に委任する。急げ、私は神戸分署に捜査専従班を取り急ぎ出して貰えるように手配する。避難先は近くの広域避難場所にする。今が午後五時だから後一時間しかない急げ! 由良ゆらは警護対象に張り付かせておいてくれ」といわれ電話が切れたのでした。


「これより貴官らの指揮権は私が取る。市民を無事に守る栄誉をやろう。そう言うわけだ、そちらも近くに部隊が居るなら動かして近くの広域避難場所に一般市民を避難させてくれ! これはテロの予告だ!! 折神さんも近くの署と連携をとってくれ、急ぎで頼む!」と斯波班長が叫びました。


 折神さんは即電話をかけ始めました、手っ取り早く特捜とくそうとして横槍を入れる様でした、近くの署に連絡が行き警察と救急に連絡が回ったようでした。


「こちらはテロの主犯格の現行犯逮捕げんこうはんたいほに移るから、避難は広域避難場所で」といっておりました。


 こちらは由良さんにショートメッセージを入れることにします。


 警察や救急、検非違使の捜査班等の指示に従って広域避難場所に退避する様に連絡を入れたのでした。



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 その頃、メールを受け取った私のほうが大変でした大変なのは、現在の一市民である私ではみんなを避難させることができないので、友達にだけ先に知らせます。


 静かに友達を集め円陣を組むと「ここは、今からとても危険な場所になるから避難できる場所に行こう」といったのでした。


 以前にも一度こういう話があったので、皆静かにうなづき近場の広域避難場所へ移動を開始したのでした。


 その後、警察車両や検非違使のバンや救急車両がハーバーランド・ショッピングモール周囲に展開し、一般市民や警備員の避難を大々的に始めたのでした。



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 退避が終わり、ガランとしたショッピングモール内に三人が入りました。


大山たいざん鳴動めいどうしてねずみ一匹なんてことは無いよな……」と斯波班長が言いました。


「外れくじだけは勘弁かんべんですね」と折神さんもM29を構えながら静かに移動します。


 霊太刀アストラルブレイドを抜きながら「ですね、でもコイツが教えてくれていますよ、居ます比較的近いところに」と俺がいったのでした。


「オーラの輝きが違うんですよ」と続けました。事実オーラの輝きは普段のあお色から危険色のあか色に代わっていました。


 所持者か霊視持ちにしか見えない色ですが頼りになる相棒あいぼうなのです。



━━━━━《由良視点》━━━━━


 そのころ、無事に広域避難場所に先に移動できていた私は、ある種の嫌な予感を覚えていました。


 妖魔あやかしは近くにいませんでしたが、他の違う何かが潜んでいるという感覚を覚えていたのです。


 しかし、それらは監視かんしが主目的で他にも何かを探しているような感覚だったのでした。



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