突然現れた許嫁が俺にデレデレなんだけど、どうすればいい?
カイザ
許嫁を名乗る美少女が現れたんだけど、どうすればいい?
第1話
どうして?どうしてこうなった?
確かに俺はそこそこ見た目はいいし、そこそこのオシャレもしてるけども。
だが、だがな?
「会いたかったよー!光真くーん!!」
誰だよこの美人な女!!めっちゃデレデレで抱きついて来るんだが!?
ちょっと、なんでこうなった思い出せ!俺!!
そんな事で少し前に遡ろう!
***
突然だが、自己紹介をしよう。俺の名前は
見た目はそこそこ良い方だと思う。それに女子とは普通に喋れる。それなのに彼女が出来ない。女子にとって俺はいわゆる良い人止まりで彼氏にしたいとは思わないのだろう。
だがな?良い人止まり?知るか。俺はラブコメと言う架空の物語のテンプレを信じる!ラブコメは良い奴が主人公になる事が多いんだよ!
そうやっていつか彼女が出来ると願い、それと同時に行動もして来た。
だが………。
「出来ねーよー。」
いくら行動しても誰も俺に好意を寄せているようには見えない。これじゃあ本当にただ頼れる良い奴なだけじゃないか。
「いきなりどったよ?」
横から言ってくる男は
「馬鹿には関係ねーよ。」
「あぁ?心配してやったのにそれはねーんじゃねーのか?あぁ?ごら?」
そしてこの流星と言う人物は短気でめんどくさい。だが馬鹿だから……。
「ああ悪い悪い昼飯の時おかずちょっとあげるからそれで勘弁してくれ。」
「マジ?サンキュー!!」
馬鹿なおかげで凄く単純。こうして俺のおかずをあげる事ですぐに機嫌が元通りになる。こう言う単純な馬鹿は扱いやすい。
「おう。感謝しろよな。」
「……あれ?感謝される筋合いは無いような………。」
いつもは流されるはずなのだが、今日の
やれやれ。勘の良い馬鹿は嫌いだよ。
***
学校に着くと椅子に座り、いつも通り朝の眠りにつく。
ここ最近、夜に寝る時間が減ってしまい、睡眠不足なのだ。だから、少し早めに学校に行き、ホームルームが始まるまでこうして寝る事にしたのだ。
だが、そのルーティーンを月、金曜日限定で必ず邪魔する輩が現れる。
「えいっ!」
「おっと。危ない。」
「ちょっ!なんで避けるのさ!?」
「痛いからに決まってるんだろ?」
「くっーーー!!」
こうして俺の前で悔しがっている女は、さっき言った俺のルーティーンを邪魔する輩。名前は九条朱音。月曜と金曜に陸上の朝練があり、こうして早く教室に来て俺の至高の時間を邪魔するのだ。
–––––髪は肩にかかるか程度の長さで毛先はウェーブされた無造作パーマ。
目鼻は整っており、お姉さん系のような見た目なのだが、先程のように、お姉さん系とはかけ離れた性格。
ついでに言うと体型は体育会系で、全身はスラっとしており、程よく筋肉が備わっている。ちなみに胸の方はやや乏しい。
そんな気持ち悪い解説をした後、俺はため息を吐き、九条に尋ねてみる。
「てかなんでいつも俺の邪魔するんだよ?」
「だってこの時間コウコウしかいないもん。だから暇つぶし。」
「暇つぶしで俺は襲われるのか?」
九条が言ったコウコウとは俺のあだ名だ。九条しかこのあだ名を使う者はいない。
それはともかく、暇つぶしで寝込みを襲われるのは納得いかない。怒りたい。怒りたいのだが……。
「全く……。俺以外の奴にやったら嫌われるぞ?」
怒っては駄目だ。ここで怒っては俺の今までの努力が全て崩れる。
「なら、コウコウにはやっていいの?」
「やめて。俺、辛くて泣いちゃうよ?」
おどけながらそう言う。まぁ、事実なんだけどね。
九条は「またまた〜」と言って俺の背中をばしばしと叩く。痛い。痛いって。
「そういえばさ。」
「ん、何?」
「来週の月曜日に転校生がうちのクラスに来るって知ってた?」
「いや、知らないけど。男?女?」
「どっちがいい?」
「おん………いや、別にどっちでもいいよ。」
女と言いそうになったがごほんと咳をし、誤魔化す。
「それで、どっちなんだ?」
「女の子だよ。」
「まじか。それだとあんま絡む事なさそうだな。」
「嘘だよ。」
「あっ?それじゃあ男なのか?」
「さぁ?私も知らない。」
「この野郎……っ!」
拳を強く握りしめ、堪える。ブチ切れたい。俺も流星と同じく短気だから、こんな些細な事でもすぐ頭に来てしまう。
それでもね。俺には夢がある。それは主人公になる事だ。こんな事でブチ切れたら、主人公にはなれない。磨かねば。主役としての器を。いつか始まるラブコメの為に。
「–––––結局、月曜日にならないとわからないって事か。」
「うん。そうだねー。」
「でも、転校してくる時期がちょっと変わってるよな。」
「六月ももう終盤。あと少しで夏休みだしね。」
「うん。てか次の週から七月だろ?」
せっかく転校したのにそのすぐ後に夏休みなんて……。友人を作るの難しくなりそうだよな。
そんな事を考えていると、いつの間にか生徒達が全員揃っており、ホームルームの前のチャイムが教室の中に響き渡った。
「結局、少しの間しか寝れなかった……。」
「どんまーい!」
九条は笑いながらそう言うと、自分の席へ戻って行った。
この野郎……っ、誰のせいでこうなったかわかってんのか?
俺はため息をつき、一限目の準備を始めた。
***
「あぁ……眠い。」
「今日は寝てないのかよ。」
「九条がな。寝かせてくれなかったんだ。」
「誤解のある言い方やめろよな。」
「事実だから仕方ないだろ?」
帰り道、俺はあくびしながら、流星と話す。
こいつは、学校は同じなのだが、クラスが違うため、行き帰りと食事の時にしか基本会わない。
でも、休み時間になると流星が俺の教室に来る事もたまにあるが。
「それにしても、お前ら本当ラブラブだな。さっさと告って付き合っちまえよ。」
「いや、あいつ、他に好きな人がいるんだぜ?そんな奴に告っても玉砕するだけだろ。」
「まじ?九条の好きな人ってお前じゃないの?ざまぁー。」
「ぶっ飛ばすぞ?」
「やるか?」
流星は拳を前に構え、俺を挑発する。こいつは喧嘩が強い。喧嘩すれば俺がボコボコにされるだけだ。あぁ。めんどくせぇ。
「やらねぇよ。だいたい、お前が悪いんだろ?」
「あっ?そうだっけ?そうだったらすまん。」
「馬鹿が。」
「何か言ったか?」
「何も言ってねぇーよ。」
相変わらずこの馬鹿はめんどくさい。それでもこうして一緒にいるのは腐れ縁なのかも知れない。
そうしている間に、流星は家に着き、別れる事になった。
俺は家に帰る前にコンビニに寄り、飲み物と肉まんを買う。
そして、コンビニにから出ると。
「あっ。」
ついつい声が漏れてしまう。
目の前で歩いていた女があまりに美少女だったからだ。
女は声に気づき、俺の方へと顔を向ける。
「光……真、君?」
女は恐る恐る訪ねるかのように俺の名前を聞いてくる。
「そ、そうだけど……。何で俺の名前––––ぬわっ!?」
「会いたかったよー!光真くーん!!」
女は突然、俺に抱きついて来た。
……うん。やっぱり遡ってもなんもわからないね。
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