異世界へ行った話

卯月白華

プロローグ

 彼は同年代と比べとても小さく非力で、言葉もあまり話せない。

 だからイジメの標的にされるのは仕方がないと、標準以上に内面は聡明で成熟していたからこそ、彼は半ば諦めていた。

 それでも彼は、一筋の光が差しこむのではないかと、心のどこかでなけなしに期待していたのだ。

 その一握りの泡の様に脆い希望さえ、毎日繰り返す言葉と直接的な暴力に堪えかね、淡い雪の様に立ち消えようとしていた。

 そんな時だ。


 彼女が現れたのは。



 そんな彼女が守らなければならない存在だとわかってから、彼がたった一つ自分に誓った事は――――

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